近年注目を集めるビッグデータは、ビジネスの創出や業務効率化などへの活用が期待されています。しかし、一方でビッグデータを活用する際には覚えておくべき注意点も存在します。ビッグデータを活用する上では、それらの注意点を把握することが重要です。
この記事では、ビッグデータ活用に潜む問題点と解決するための技術について解説します。
ビッグデータ活用に潜む問題点
ビッグデータは「さまざまな形をした、さまざまな性質を持った、さまざまな種類のデータ」です。膨大なデータ群であるビッグデータを活用する際には、次にあげるような問題点に気をつける必要があります。
データの質や信頼性の問題
ビッグデータは膨大なデータの集まりであり、組織などが一元的に管理しているデータとは限りません。そのため、個々のデータの品質にはばらつきが生じます。例えば、IoT機器から収集されるデータと官公庁が提供するデータをひとまとめにしたデータ群では、個々にばらつきが出てしまうことは当たり前だといえます。
また、データによっては誤差があったり、不完全なデータであったりと信頼性が低いデータも存在します。ビッグデータは収集したデータを分析・解析することでデータを活用しますが、信頼性が低いデータを使用してしまうと分析結果も信頼性が低くなり、データ活用の効果が薄れます。
現在では膨大なデータを収集しやすく、データ活用が行いやすい環境が整いつつありますが、データの質や信頼性についてはしっかりと対策を取らなければなりません。
データの保管の問題
ビッグデータとして収集したデータは、活用しやすいように分類し、必要なときに必要なデータを抽出できるように管理、保管する必要があります。また、アナログの情報(紙などの資料)よりは保管しやすいとはいえ、データ数が増えることで容量も大きくなるため、膨大なデータを保管するためにはコストがかかります。
ビッグデータを管理するためのシステムの構築や運用・維持のための人件費も必要となり、データの保管に関する問題はビッグデータを活用する上で避けて通れないといえるでしょう。
プライバシーの課題
IoT機器を使ってユーザーデータを集める場合、ユーザーのプライバシーにも留意する必要があります。個人情報や秘匿情報などのデリケートな情報を適切に扱わなければなりません。
特に欧米諸国ではプライバシー問題は重要視されており、2018年にはEUにおける個人データ保護に関する法律「GDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)」も施行され、日本企業にとっても無視できないものとなっています。
一つ一つのデータには関連性がなくとも、複数のデータを組み合わせることで個人を特定できるデータになり得るため、プライバシーの課題はビッグデータを活用する上で特に注意しなければなりません。
ビッグデータ活用の問題点を解決する技術
ビッグデータ活用の問題点を解決する際には、次にあげるような技術が使われます。
IoT
IoTはあらゆるモノをインターネットに接続することで、機器同士のコミュニケーションを実現します。ビッグデータにおいては、あらゆる情報を収集するセンサとしての役割を担う機会が多いでしょう。
例えば、自動車やバスから道路情報を取得したり、農場で作物の状態や天気情報を取得したりできます。これらの情報をビッグデータとして活用することで、自動運転や農業のIT化が実現可能です。
ユーザー情報をIoT機器で収集する際には、事前にどのような情報を収集するのかを告知し、ユーザーの許諾を得ることでプライバシー問題に対応することが可能です。
クラウド
現在では業務でクラウドサービスを利用することも一般的となり、企業システムをクラウド上で構築している企業も多いでしょう。ビッグデータの保管場所やデータ分析・解析のシステムをクラウドで実現している例もあり、ビッグデータ活用においてクラウドサービスの存在はなくてはならないものとなっています。
膨大なデータをローカル環境に保存していると、データの解析はローカル環境でしか行なえませんが、クラウドストレージなどを活用することで時間や場所にとらわれず、効率的なデータ活用が実現できます。
AI
AI(人工知能)はビッグデータ活用においては、データ分析・解析の分野で利用されています。膨大なデータからデータの傾向などを見つけ出し、現状把握や未来予測などを実現します。
人間では網羅することが困難なデータ量を捌き、経験や勘に依存せず単純にデータから傾向を導き出すことのできるAIとビックデータの組み合わせは、他にないビジネスの創出や業務効率化などの効果が期待できるでしょう。
5G
5Gは第5世代移動通信システムのことであり、これまでおもに携帯電話でのシステム通信に利用されてきた4Gの次の世代のシステムです。
5Gによって通信技術は高速・大容量化、超低遅延、超高信頼性、超多数端末接続を実現できるようになります。IoTを中心とした小型デバイスの普及を支える存在として、ビッグデータ活用においてもデータ収集の分野で活躍する技術です。
ビッグデータ活用には、「データの質や信頼性の問題」「データの保管の問題」「プライバシーの課題」という3つの課題があります。しかし、IoT/クラウド/AI/5Gなどの技術を組み合わせることで、ビッグデータをより効率的に活用できるでしょう。
ビッグデータ活用の際にはこれらの技術についても理解し、積極的に利用することが重要です。
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