AIによる画像認識で何ができる?仕組みや事例を紹介

AIは、近年急速に普及しており、さまざまな産業や医療の現場などで活用されています。実際にAIが活用されている代表的な分野として「画像認識」があります。画像認識には複数の種類があり、用途に応じて使い分けられています。ここでは、AIによる画像認識の種類と仕組みを解説するとともに、各業界の活用事例も紹介します。

AIによる画像認識

AIによる画像認識とは、AIによって特徴を判別し「それが何であるか」を認識する技術です。認識できるものは人の顔や文字の画像など様々です。あらかじめ、AIに膨大な画像データを読み込ませることで、「これは人の顔だ」などとコンピュータが判別します。

画像認識のAIにできること

画像認識のAIでは、次のようなことができます。

顔認識

顔認識とは、AIが人の顔を認識する技術です。目や鼻、口、細かな特徴などを「抽出」して「人の顔」であることを「認識」します。またその顔から性別や年齢、表情などを「識別」したり、データベースの写真と照合したりすることもできます。また、あらかじめ登録した顔写真のデータと照合・認証することで、スマートフォン(スマホ)のロックを解除するといった使い方もあります。

文字認識

文字認識とは、AIによって文字を認識・識別する技術です。紙に手書きされた文字、印刷された文字などを読み取ることで、テキストデータに変換できます。

例えば、手書きメモをテキストデータに変換すれば、半永久的な保存が可能になりますし、修正などにも簡単に対応できます。また、紙は紛失したり、劣化したりする可能性がありますが、データ化してクラウド上へ保存することでそういったリスクを軽減できます。

物体検知

物体検知とは、画像や動画に映っている情報を判別する技術です。例えば、画像や動画に映っている人や動物、物などを識別し、それぞれが何なのかを示すことができます。積んであるダンボールを検知して個数やサイズを自動計算したり、自動運転において歩行者を検知したりするのに使用します。

画像認識のAIの仕組み

画像認識のAIは、複数の技術によって構成されています。まず、対象となる画像を取得したら、画像データを読み取りやすくするために、画像の明るさや色の調整、ノイズの除去、輪郭の強調、背景との区別などを行い、対象物を抽出します。その後、抽出したデータをもとに、それがどういったものであるかを判別します。

AIに画像を判別させるためには、画像認識のためのプログラムに大量の画像データやラベル(正解を示すデータ)を学習させておく必要があります。この学習には、主にディープラーニング(深層学習)と呼ばれる脳の神経回路をモデルとしたものが用いられます。ディープラーニングで繰り返し学習を行うことで、画像認識の精度がより高くなります。

AIによる画像認識の活用事例

AIによる画像認識は、飲食業界や自動車業界、医療分野など、さまざまなシーンで活用されています。ここでは、AIによる画像認識の活用事例をご紹介します。

不良品の検品

飲食業界では、不良品の検品にAIによる画像認識が用いられています。以前は良品と不良品のデータを登録して画像認識させる方法が取られていましたが、最近では良品のデータのみ登録し、それ以外は不良品とすることで精度を高めることに成功しています。

危険運転の防止

自動車業界では、自動運転の開発が進んでおり、その中でAIが重要な役割を果たしています。人や自転車などが急に飛び出してきても高精度で検出できて自動ブレーキが作動します。

高齢者施設の見守りシステム

高齢者施設での入居者の異変を素早く察知し、事故を防止するためにAIの画像認識や物体検知の技術などを用いた見守りシステムが用いられています。入居者・スタッフ両者の心身の負担軽減につながっています。
見守りシステムで高齢者施設の課題は解決できる?」でも詳しく解説しています。

医療における画像診断

医療業界では、カメラやレントゲンで撮影した写真の画像診断にAIが用いられています。例えば、目視によるがんの画像診断には知識や経験が影響するため、見落としや誤診されてしまうリスクがあります。実際に、見落としによって治療が遅れてしまうなどの健康被害が出たケースも報告されているのです。

そこで、AIによる画像診断が注目されており、AIにがんのパターンを登録することで高精度な検出を成功させた事例もあります。まだまだ発展途上であり、現状はほとんどの医療機関は医師による画像診断のみが行われていますが、今後はAIの画像認識を補助的に利用するケースが増えてくるでしょう。

レジシステム

AIを活用すれば、パンのようにバーコードがない商品でもレジに通すだけで認識できるようになります。バーコードを取り付けられない商品は、レジスタッフの知識と記憶力に頼って金額を入力する必要がありました。また、金額入力による時間ロスや入力ミスなどのリスクが生じます。

AIの画像認識によって、レジに通すだけでバーコードがない商品も認識できるようになれば、スタッフの負担軽減、人件費の削減などに繋がります。

AIは全てのビジネスに活用できるわけではありませんが、多くの業界において活用可能な技術です。また、AIで蓄積・検知されたデータから顧客の性別や年齢、特定の事故が起きる時間、特定の商品が売れる時間などを分析し、事業の改善や新規開発に役立てることもできます。AIの画像認識を活用すれば、結果的に人件費の削減、ミスの軽減、顧客満足度の向上も期待できます。ご自身のビジネスにAIを活用できないか考えてみてはいかがでしょうか。