ビッグデータ活用のポイントと活用事例

近年、「ビッグデータ」に注目が集まっていますが、その内容について詳しいことはわからない、という方も多いのではないでしょうか。また、ビッグデータを活用することで、どのようなメリットを得られるのか知りたい方もいるでしょう。
そこでこの記事では、ビッグデータの概要から活用のポイントについて詳しく解説し、業種別にいくつかの活用事例を紹介します。

そもそも「ビッグデータ」とは何か

ビッグデータという言葉から、大きなデータ、大量のデータを想像する方も多いでしょう。しかしビッグデータはそれだけの意味にとどまらず、さまざまな種類・性質を持った膨大なデータの集まりです。
画一的なデータを集めただけでなく、動画や音声などの非構造化データも含めたデータ群であり、組み合わせることでさまざまな可能性を見出すことができます。特に昨今は非構造化データが急速に増えており、これらのデータをいかに活用できるかが重要視されています。
従来は扱いが難しかった非構造化データも扱いやすくなったいま、企業の新たなビジネスの創出や業務効率化のためのビッグデータ活用が期待されています。
さらに詳しく知りたい方は「ビッグデータとは? 知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説」も併せてご覧ください。

ビッグデータ活用がビジネスにおいて重要な理由

ビッグデータ活用がビジネスにおいて重要な理由として、まず技術進歩によりビッグデータの活用が容易になってきた点が挙げられます。高速なデータ処理技術やAIをはじめとする最新の技術が普及することで、非構造化データも含めた膨大な量のデータを効率的に分析・活用することが可能になりました。

それにより、これまで蓄積されたまま活用されずにいたデータを有効利用できるようになったのです。ビッグデータを活用することで、顧客のニーズや市場の動向、企業課題などを把握し、より効果的な戦略の立案が可能になります。ビッグデータを活用すれば、企業は競争力を向上させることができ、さらなる成長を期待できるでしょう。

すでに多くの企業がビッグデータ活用を取り入れており、活用できない企業との間に大きな差が生じる可能性すらあります。ビッグデータ活用を遅れずに取り入れることで、市場での競争優位を保ち続けることができるでしょう。このように、ビッグデータ活用はビジネスにおいてますます重要になってきています。蓄積したデータ資源を有効に活用することで、組織の成長やビジネスチャンスの創出につなげましょう。

ビッグデータ活用のメリット

ビッグデータ活用は、ビジネスチャンスの創出や意思決定の迅速化、リアルタイムの現状把握・需要予測、そして効果検証の精度向上など、多くのメリットをもたらします。以下でそれぞれのメリットについて詳しく説明していきます。

ビジネスチャンスの創出

ビッグデータを活用することで、消費者の傾向や市場の動向をより正確に把握することが可能になります。これにより、新たなニーズを見つけ出し、タイムリーな製品開発やサービス提供が可能となり、ビジネスチャンスを創出することにつながるでしょう。

意思決定の迅速化

膨大なデータを効率的に分析することで、企業は迅速かつ正確な意思決定ができるようになります。従来は時間がかかり、主観が入り込みやすかった意思決定プロセスが、データに基づいた客観的な判断に置き換わることにより、企業の運営効率が向上することが期待できます。

リアルタイムの現状把握・需要予測

ビッグデータ活用により、リアルタイムでの現状把握が可能になります。これにより、市場の変化に素早く対応することができるだけでなく、将来の需要予測もより精度の高いものとなります。適切な在庫管理や生産計画、販売戦略の立案が可能となり、経営効率が向上します。

効果検証の精度向上

ビッグデータを活用することで、施策の効果検証もより正確かつ効率的に行えます。データに基づいた効果検証により、施策の改善点や効果的な手法を見つけ出すことが容易になり、企業は限られたリソースを最大限に活用できるでしょう。

ビッグデータ活用のポイント

近年では、営業・マーケティング・生産・開発などのあらゆる分野でデータ活用は欠かせないものとなっています。ビッグデータはおもに次のような流れで活用されます。

  1. データの収集
  2. データの整理
  3. データの可視化
  4. データ分析、解析
  5. データ活用結果の検証、蓄積

データ活用では分析・解析結果をもとにマーケティングなどに活かされますが、重要なことはさらにその結果を検証し、新たなデータとして蓄積し続けていくことです。
ビッグデータを活用する目的を事前に定め、その目的を達成するために活用した結果の検証・蓄積を行うことでより良いデータ分析に活かします。このような効果検証を繰り返し行うことで、本当の意味で必要なデータが見えてくるようになるでしょう。
蓄積した効果検証の結果は、別の目的を達成する際のデータとしても利用できます。

ビッグデータの活用事例

ビッグデータがもたらす効果について、業種を問わないものとしては、経営戦略の策定・内部統制強化などがあげられます。社内外の過去の売上データなどを収集・分析することで、今後の売上への影響を予測し、注力する事業の決定や戦略企画に活かすことができ、経営戦略の策定にもつながります。
また、経理データや業務日誌などをもとに不正な取引が行われていないかなどをチェックすることも可能です。
それでは、ここからはビッグデータの活用事例を業種別に見ていきましょう。

鉄道業における事例

ICチップ付きの交通カードは、利用時にその情報が鉄道会社に送られています。どのような属性のユーザーが、どのような場所を訪れているのか、また交通カードを使ってどんなものを購入しているのかなどの情報がビッグデータとして蓄積され、活用されているのです。
鉄道会社の中には旅行業を営んでいる場合もありますが、その場合には旅行商品のマーケティングにも役立てられています。

建設業における事例

建設業界では人手不足が深刻であるため、人手不足解消のためにビッグデータやAIの活用が積極的に行われています。建設に使用する機械の操作情報を取得し、そのビッグデータをAIに学習させることで、人に代わってAIに機械を操作させたいと考えている企業も存在します。
その他にも、施工履歴データから建設現場の見える化や効率化の実現、事故や異常発生時に類似のリスクを有する施設の特定などもビッグデータ活用によって実現しています。

農業における事例

近年では農業のIT化も進んでおり、灌水・施肥の最適化や自動化も実現しています。土壌の状態をモニタリングすることで、作物に最適な水や肥料をAIが解析・判断して自律的に供給することが可能です。
加えて、作物の光合成速度を計測し、光合成量を数値化して管理する取り組みも進んでいます。ビッグデータとAIを活用した農業の効率化も積極的に進められています。
ビッグデータは単なる大量のデータではなく、さまざまな種類・性質を持った膨大なデータの集まりです。ビッグデータの活用は新たなビジネスの創出や業務効率化の手段としても注目されています。

ビッグデータを活用するためには、事前に活用の目的をしっかりと定め、データ活用における効果測定とその結果の蓄積が重要です。現在、徐々にその効果が目に見え始めてきており、これからの企業活動において、ビッグデータの活用はなくてはならない存在となるでしょう。自社のどのようなデータが役立つのか、データ活用の専門家に相談するのも良いでしょう。客観的な視点から見ると、自身では気づくことのできなかった何気ないことがビックデータとして役立つ場合があります。
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