近年、ICTの発達によってAIやIoTがさまざまな場面で活用されるようになりました。そんななか、これらの言葉と併せて「ビッグデータ」という言葉を聞く機会も多いでしょう。しかし、ビッグデータがどのようなものなのか、AIやIoTとどのように関係しているのかなど、詳しいことはわからないという方も少なくありません。
そこでこの記事では、ビッグデータの概要からできること、AIやIoTとの関係性について解説します。
ビッグデータとは
ビッグデータとは、「さまざまな形をした、さまざまな性質を持った、さまざまな種類のデータ」を表します。ビッグデータはデータの量(Volume)、データの種類(Variety)、データの処理速度(Velocity)の3つのVからなる特性を持っています。
ビッグデータは単なる大量のデータではなく、これまでは活用が難しかった非構造化データ(動画・音声など)やリアルタイム性のあるデータの蓄積を可能とした応用性のあるデータです。
総務省は情報通信白書の中で、ビッグデータについて「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」と定義しており、これまでにない新しい仕組みやシステムを生み出すことができるデータとして注目を集めています。
ビッグデータで何ができるのか
ビッグデータはあらゆる情報を持つデータ群です。現状分析から未来の予測、データに基づいた意思決定などに活用できます。
例えば、商品の製造量から購買量、購入者の客層や天気情報などを組み合わせ、「雨の日には商品Aが多く売れる傾向にあるため、雨が降りそうな日には多めに仕入れておく」などといったことが実現できます。
商品が売れる傾向だけでなく、適切な製造量やそのために必要な原材料の仕入れなども過去データから予測して過不足がない状態にできれば、在庫を抱えすぎてしまうことも避けられます。また、安定的に商品を提供することは、リピーターの定着にもつながるでしょう。
企業活動においても、新たな分野を開拓してビジネスを創出するための市場分析などにも活用でき、多くの可能性をもたらすとされています。通常業務においてもボトルネックとなっている業務の見極めや解消するための手段として活用でき、ビックデータは業務効率化にも貢献します。
ビッグデータ活用と「IoT」「AI」の関係
ビッグデータと併せて「IoT」や「AI」という言葉をよく耳にします。これらとビッグデータを組み合わせることで、どのようなことが実現できるのでしょうか。
「IoT」でビッグデータの収集が加速
ビッグデータというデータ群を形成するためには、さまざまな形・種類のデータを大量に集めなければなりません。その際に活用されるのがIoTです。
IoTは「あらゆるモノをインターネットに接続すること」であり、IoTによってモノ同士のコミュニケーションが実現します。IoTデバイスは小型の機器であることが多く、例えばペットの首輪や工場にある機械に設置して状態を取得するセンサなどがあげられます。
ペットが今どこにいるのかを調べたり、工場にある機械の温度や稼働状況を管理したりすることなどが実現でき、センサによって膨大なデータの収集が可能です。また、クラウドサービスを利用する機会も増えており、インターネット上での利用者の行動などもビッグデータの一部として取得できます。
ビッグデータを形成するための膨大なデータは、IoTによって支えられているといえるでしょう。
ビッグデータの分析・解析のカギを握る「AI」
IoTによって集められた膨大なデータも、そのままではあまり意味がありません。膨大なデータから傾向や法則を導き出し、ビジネスチャンスや業務の効率化などへの活用まで昇華させる必要があります。
そのために用いられるのがAIであり、膨大なデータの分析・解析の鍵を握ります。膨大なデータの分析・解析を一つ一つ人の手で行うのは非常に時間がかかりますが、AIを活用すれば、それらを迅速かつ最適化された状態で効率的に行うことができます。人の手では導き出せなかった答えにたどり着くことができるのです。
今後はAIが導き出した結果をもとに、現状分析から未来予測、意思決定を行うことが求められるでしょう。ビッグデータを活用し、ビジネスチャンスなどにつなげるために欠かせない存在がAIだといえるのです。
ビッグデータは、さまざまな種類・性質を持った膨大なデータの集まりです。ビッグデータを活用すれば、現状分析・未来予測・データを活用した意思決定が実現でき、ビジネスの創出や業務の効率化などの効果が期待できます。
ビッグデータとIoTやAIは密接な関係にあり、相互に欠かせない存在です。それぞれの役割を理解し、積極的にビッグデータを活用していきましょう。
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