企業がライブ配信を活用するメリット・デメリット

リアルタイムで映像や音声をストリーミングする方法、視聴する方法が普及し、「ライブ配信」が身近なものになっています。企業にとってもライブ配信は大きな可能性を持ったツールあるいはメディアの1つといえます。企業がライブ配信を活用するメリットとデメリットについて解説し、活用事例も紹介します。

ライブ配信とは?

ライブ配信とは、基本的に複数または多数の視聴者を対象とした、パソコンやスマートフォンとインターネットを使ってリアルタイムで映像と音声を届けるサービスのことです。配信中は視聴者がテキストチャットでコメントを送ったり、「いいね」を送信したりできるなど、双方向性を備えているのも特徴です。

現在ではYouTubeやInstagram、Facebook、LINEでもライブ配信が行えるほか、さまざまなライブ配信アプリも利用されています。

配信を行う主体(配信者、ライバー)は個人やインフルエンサー、YouTuberに加え、タレントや有名人、企業などこちらも多様化しています。内容も新商品発表、プロモーションイベントなどから記者会見、スポーツや音楽ライブ中継、気象・災害情報発信、ゲーム実況、料理実況、メイク実況、ファンとの交流、雑談まで種々雑多です。

配信映像はリアルタイムで参加した人のみが視聴できるだけでなく、後からほかのユーザーが見返せるようアーカイブとして残すことができる機能も備わっています。

また、企業が行うライブ配信では、参加者を集めて開催する講演会やセミナー、研修、勉強会などをライブ配信するというスタイルもよく見られます。同じライブ配信でも広く一般に無料で公開するもの、有料で公開するもの、社内などクローズドに公開するものなどの違いもあります。

企業がライブ配信を活用するメリット

企業がライブ配信を活用するケースは近年急増しています。ライブ配信はこれまで企業が行ってきたセミナーや展示会、イベントなどよりも現代的な方法であり、それらとは異なる次のようなメリットがあります。

  • 会場代や準備費用を抑えられ開催コストが安い
  • オンラインなので視聴者が気軽に参加しやすい、新規顧客も取り込める
  • 会場のキャパシティを気にせず多数の人の参加が可能
  • 配信機材とプラットフォームがそろっていれば企業側も簡単に配信できる
  • 最新情報を迅速に伝えられる
  • 新型コロナウイルスなど感染症のリスクを最小限に抑えられる
  • 双方向のコミュニケーションが可能(質疑応答ができる)
  • 作り込んだコマーシャル映像などよりも臨場感がある
  • 定期的に配信を行うことでファンを育成できる

ライブ配信は比較的容易に開催できるのが魅力です。配信のためのノウハウを得ていれば、必要なときに素早く多数の人に情報を届けられるようになります。視聴者も同様に気軽に参加しやすく、無料で開催されているのであれば「ちょっと興味がある」人も覗いてみることが可能です。SNSなどで告知すれば、こうしたメリットを広げることもできるでしょう。

企業がライブ配信を行うデメリット

一方でデメリットもあります。こちらも列挙してみましょう。

  • 撮影・配信用機材や回線のトラブルが発生するリスクがある
  • 不注意や些細なミスで不適切な発言や映像が流れてしまうリスクがある
  • 視聴者によって批判的・攻撃的・不適切なコメントが発せられるリスクがある
  • 実際に来場してもらう場合に比べると一体感に欠ける
  • 参加しやすい反面、離脱のしやすさもある

一般的なイベントなどと本質的には変わらないことも含まれていますが、これらはライブ配信の実績を重ねていくことである程度コントロールできるようになるでしょう。

不適切な発言・映像などはアーカイブとして残す際に、編集を加えることも可能です。ただし、ライブ配信は基本的に視聴者がキャプチャー(録画)することが可能で、何かトラブルがあったときはその情報がたやすく拡散されてしまうことも想定しておくことが大切です。
また、一体感に欠ける点や離脱のしやすさに関しては、イベント会場開催よりも一層、視聴者を惹きつける工夫が必要になってきます。

企業のライブ配信活用事例

企業が実際にどのようにしてライブ配信を活用しているのか、活用事例を紹介します。

アパレルブランドによる定期配信

新作アイテムの発売に合わせる形で定期配信を企画。告知は自社のSNSアカウントはもちろん、インフルエンサーなどブランド関係者にも依頼をして行っています。

ライブ配信では視聴者からの質問にはほぼすべて回答するなど、コミュニケーションを重視しているのが特徴。服のサイズと身長についての質問が多いので、身長の違うスタッフが複数人出てくるなどわかりやすく親しみやすい内容に。細かい工夫や改善をしながら定期配信を重ねることで視聴者数が増加し、配信直後の購買数も増え続けています。

コスメブランドによるメイクアップ配信

タレントを起用して、専属のメイクアップアーティストと2人で自社商品の使用感や使い方を伝える配信を実施。商品を手に、タレントがユーザーとしての目線で感想を話すのがわかりやすいと人気を得ています。

他にも、メイク術紹介などのハウツー系配信を行ってメイクに興味があるユーザーに役立つ情報を蓄積。アーカイブに残すことで、商品のプロモーション動画と並べていつでも見られるようにしています。

保険代理店による社内教育を動画配信

保険代理店営業部では、多岐にわたる保険商材と複雑なサービス内容を解説するための社内の営業担当者向けの動画を配信しています。クローズドな配信で、コメント機能などは使っていませんが、パソコンやスマホを使っていつでも必要なときに繰り返し動画が見られるというメリットを活用。教育マニュアルだけではわかりにくかったサービスを学習できる内容となっています。

この動画配信によって営業担当者の商品知識が向上。顧客に対する商品説明にも動画を使うことができ、販売促進にもつながっています。

ライブ配信は非常に有効な販促ツール、営業ツールとして定着しつつあります。企業の活用方法も今後もっと新しいスタイルのものが生まれていくのではないでしょうか。自社のビジネスに役立つ活用方法を探してみてはいかがでしょうか。