ここ数年、工場内や建設現場、商業施設や店舗など多くの場所でネットワークカメラが使用されるようになっています。企業がネットワークカメラを導入する例が増え、その用途も多様化の様相を見せ始めています。そこで今回は、実際に企業はどのようなことにネットワークカメラを使っているのか、その活用事例を紹介します。自社でネットワークカメラを導入する際の参考にしてください。
ネットワークカメラとは
ネットワークカメラとは、個々の機器にIPアドレスが割り振られていて、インターネットに直接接続することでパソコンやスマホからリアルタイムでカメラがとらえた映像を見ることができるカメラです。IPカメラとも呼ばれます。
Webカメラと混同されることが多いのですが、ネットワークカメラはコンピュータに近い機能がカメラ本体に備わっていて、単体でインターネットに接続して動作するのが特徴です。また、多くのネットワークカメラはパソコン、スマホ、タブレットなどからカメラの角度を変えたりズームをしたりといった遠隔操作をすることができます。
企業のネットワークカメラ活用事例
最近ではさまざまな業種の企業がネットワークカメラを使用しています。どのような活用事例があるのか紹介していきましょう。
物流業:倉庫内の遠隔監視
首都圏エリアに20以上の倉庫や営業所などの施設を所有しているA社。以前は台風などの災害発生時には各現場の所長や担当者が預かっている荷物の点検などを行っていましたが、ネットワークカメラを設置してからは現場に出向く必要のある頻度が大幅に減少したとのことです。
というのも、スマホなどを使っていつでも遠隔から倉庫内の様子などを確認でき、まずは映像で確認し、必要があれば駆けつけるということが可能になったためです。今後は荷物の扱いのモニタリングやフォークリフトの事故の検証、働いているスタッフの様子の確認などにも積極的にネットワークカメラを利用しようと考えているとのことです。
製造業:工場機械の動作監視
これまで工場内の機械の動作確認などのために定期的に担当者が巡回していたB社では、広い工場内を巡回するのに時間や人的コストがかかるという課題を抱えていました。また、巡回する時間帯が決まっているため、その合間に不具合が発生すると対応するまでに時間ロスが生じ、生産効率が落ちてしまうというのも問題点でした。
そこで機械の動作状況を示すランプが確認できるようにネットワークカメラを計6台設置。生産ラインごとにそれぞれの機械の状況が確認できる仕組みを作りました。使用するモニターは、6台のカメラ映像を一度に表示して確認するのが容易で、必要に応じて1台のカメラ映像を拡大してみることもできる大型のものを、録画機とともに導入。これらの方法で工場内における巡回生産性を向上させることに成功しました。
建設業:建設現場の夜間防犯
作業中の建設現場で深夜もしくは工事をしていない日に何者かが侵入した形跡を発見したというC社。至急、簡単に設置でき、人がいないときの現場の様子を確認できるカメラを使用したいということでネットワークカメラの導入に踏み切りました。
選んだのは屋外用の簡易なネットワークカメラ。録画もSDカードで行うという仕組みのものを採用して、数ヵ月の間、作業場の出入口付近とプレハブの休憩室の横にカメラを置いて現場監視を行いました。SDカードは録画時間が短いものの、今回の用途には十分な性能。スマホで映像を確認して録画することもできます。カメラは赤外線搭載で夜間撮影も問題なく、200万画素の画質なので人の顔や服装も確認できます。後日映像を確認すると、子どもが入ってきているのがわかったため、近くの小学校へ注意喚起するなどの対応を行ったそうです。
製造業:工場見学者向け見守りカメラ
ニッパー型刃物に特化した製品の製造を行っているD社は、すべてを手作りで行っており、その製造工程を見たいという工場見学者が急増。これに対応するための案内担当者の数を十分に確保できなくなったため、自由に工場内を見学してもらえる「オープンファクトリー」という仕組みを確立しました。
それに伴って、工場内の見学者専用通路にネットワークカメラを設置。それだけではなく、見学者が作業現場ブースの外からタブレットを使ってネットワークカメラを操作し、職人が作業している手元の様子など観察できる仕組みを作り上げました。これが評判を呼び、さらに見学者が増加。帰りに製品を購入する人も増えたということです。
サービス業:ショッピングモール内のモニタリングシステム
E社では、約500坪のショッピングモール内に25台のネットワークカメラを設置して店内のモニタリングを行っています。その役割は事件や事故の監視、犯罪抑止など。加えて、従業員(店員)指導やお客様対応スキルの向上にも役立てたいという考えもありました。
そのためにフルHDの高画質映像が撮影できるカメラを導入。これによりレジでのお客様とのやりとりがはっきりと見え、店員のミスによるトラブルがあった場合には録画映像を見ながらどこが悪かったのかを確認し、指導に活かすことができています。25台のカメラによる映像は1台の専用レコーダーとパソコンで一元管理。リアルタイム映像も録画映像もいつでも確認することができるモニタリングシステムとして活用しています。
ここまでみてきたように、ネットワークカメラはさまざまな業種のニーズに応え、課題解決に役立てることができるツールです。その特長を上手く引き出すような活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。
ネットワークカメラを導入する上で、セキュリティ対策についても知りたい方は「ネットワークカメラに必要なセキュリティ対策とは?」も併せてご覧ください。