導入前に押さえておこう!IoTにおける課題と活用のポイント

IoTはモノとインターネットをつないでさまざまなデータを受け渡しすることで、より一層生活や業務環境の利便性を向上させることができるシステムです。すでに製造業や流通業、建設業などさまざまな業種がIoTシステムを導入し、今までにない新しい製品やサービスを展開しています。
ここでは、企業のIoT導入における課題や活用について紹介します。

IoT市場は年々拡大

現在、IT分野を中心にさまざまな分野でIoT技術が導入・活用され、クラウドコンピューティングやネットワーク通信技術の向上によりIoT市場は多業種に拡大しています。

監視カメラのように人間に代わって24時間見守り体制を確保する警備・セキュリティシステムをはじめ、エネルギ・自動車・流通・ヘルスケアを中心に約7,000億円以上の市場規模と推計されており、IDC Japanが2019年に発表した国内IoT市場のユーザ支出額は2018年時点で約6兆円、2023年には11兆7,900億円に達すると予測されています。

IoTにおける課題

IoTには多くの可能性が期待できますが、新規参入や規模の拡大にはいくつかの課題があります。

人材の確保

IoTはセンサーとインターネット通信を組み合わせた技術で、システムの構築や運用・保守、そのほかトラブル解決などに携わるセンサーモジュールと通信モジュールの両方に精通したエンジニアの存在が欠かせません。しかし、IoTに専門的な知識をもつ人材はまだまだ不足しており、エンジニアを育成・増員しなければならないという課題があります。

そしてIoTをビジネスで活用するには、データサイエンティストも不可欠です。データサイエンティストはIoTの導入によって得られたデータを、どう分析し、どこでどのように活用するかを提案しビジネス上の課題解決に努めますが、エンジニアと同様に人材確保が難しくなっている現状があります。データサイエンティストは、ビジネスの現場と、データ分析の両方を理解する必要があります。現場で何が起きているかを的確に把握して、IoTで適切なデータを収集し、データ分析を行い、あるべき姿を提案するという一連の流れを実行できる人材が求められているのです。

通信・ハードウェアなどの技術面

IoTを導入すると24時間リアルタイムでのデータ収集が可能になるため、莫大なデータを送受信し処理できる環境が必要です。
例えば、5Gを使い、エッジコンピューティングを行って現場に近いところでデータを処理してレスポンスを返し、必要なデータだけクラウドに上げて保存するということもできるようになります。実用化にはセンサー・アプリケーション・通信・サーバといった複数の機器・システムを連携して動かすことができ、さらにセキュリティも考慮した高度な技術が求められます。

IoT導入から運用・保守までを安全に行うには、通信設備やハードウェアなどの技術的な問題を避けて通ることはできません。特に近年深刻化しているものがIoTシステムを搭載した監視カメラやセンサーをハッキングし動画データやセンシングデータを盗み取るというような、IoT機器を標的とするサイバー攻撃です。

サイバーセキュリティ

セキュリティについては前項でも触れていますが、IoT機器を運用していく中で十分なケアやメンテナンス行われていないと通信やセキュリティに問題が発生しやすく、企業の事業活動に重大な損失を与えるおそれがあります。SIMを認証に使ったり、転送中のデータを暗号化技術によって保護したり、MNOやMVNOなどの通信事業者の回線を使ってインターネットに出ない閉域網を利用したりして、サイバー攻撃を防ぐための仕組み作りも大きな課題といえるでしょう。

IoTに特化したマルウェアによるDDoS攻撃も行われており、IoT機器がコンピュータと同じ「脆弱性」を持っていることが問題になっています。今後増々IoT機器は高性能になりIoT機器の計算性能が上がることで、IoT機器の脆弱性やセキュリティの穴を狙った事件が多発する可能性があり、ユーザと情報を守るセキュリティ対策が急務となっています。

ヒューマンエラー

IoT機器が組み込まれているデバイスは、かつては通信を行うものではありませんでした。そのため、IoTを組み込む段階で人的なミスや欠陥が入り込み、それらの穴を放置したままサイバー攻撃の被害に遭う例が報告されています。

現在はIoT化が始まったばかりですので、既存の仕組みに後からIoT機器を組み込むことが多いですが、次期更改時にはあらかじめ攻撃を極力避けられるようにIoTを前提とした機器やシステムを設計しておく必要があります。しかし、人の手で開発が行われる以上、そこにはヒューマンエラーの危険性がともないます。ヒューマンエラーを100%防ぐことは困難ですので、ミスが見つかりしだい修正・修復をかけるメンテナンス性や、常に複数経路を用意し切り替えることを可能にしておくことで、人的ミスに対応したIoTの仕組みを事前に検討しておく必要があるでしょう。

IoT活用のポイント

IoTをビジネスに取り入れて活用するためには、まず「導入目的を明確化する」ところからスタートします。IoTをどのような製品に、何のために取り入れたいかを考えつつ、製品やサービスの将来性もあわせて考慮していきましょう。「目的」と「手段」とを取り違えないことが肝要です。

次に十分な予算を確保し、計画的かつ段階的に導入を進めていきます。段階的に、何をやったらどういう成果が出るという費用対効果を明確化・明文化し、ステップバイステップで進めていく必要があります。センサーと通信両方のエンジニアや現場を理解しているデータサイエンティストを集め、組み込み製品の開発やデータ分析を行います。ただし先述の通りIoTの実用化はステップバイステップで進めていくことになりますから、場合によってはオンザジョブで組織の中で人材を育成していくことも視野に入れる事が良いでしょう。同時にセキュリティ環境の整備に費用と時間がかかるなど、IoTを実用化するうえでのリスクやコストも踏まえておく必要があります。

IoTの導入には、人材・技術・セキュリティ・コストなどさまざまな課題があります。しかしIoTやAIなどの技術を活用すれば、従来の製品やサービスの質が格段にアップすることはいうまでもありません。

まずは外部からアドバイスや提案を受け、そこから計画的に導入を進めていきたい方、具体的にIoT SIMの導入を考えている方は、フリービットにぜひ相談ください。

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