格安SIMとは? 仕組みやできること・できないことを徹底解説

近年、料金の安さや契約の柔軟性から格安SIMを利用する方が増えています。いまやほとんどの方がスマートフォンを所有するなか、毎月の利用料を抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか。この記事では、そんな格安SIMの基本知識を解説する記事です。格安SIMの概要・仕組みからメリット・デメリット、導入手順を解説します。

格安SIMとは

格安SIMとは、大手キャリアから回線を借りてサービスを提供する事業者(MVNO)から提供されているSIMカードです。MVNOのことを格安SIMと表現する場合もありますが、厳密には異なります。

格安SIMの仕組み

格安SIMを提供するMVNOは、自前の回線を持ちません。大手キャリアから回線を借りて独自のサービスを加えて提供しています。自前の回線を持たないことから、回線の維持・管理費がかからず、さらにショップを展開しない、もしくは少数に抑えることで低価格を実現しています。

格安SIMでできること

格安SIMでも大本の回線は大手キャリアのものであり、インターネットへの接続や電話はもちろん行えます。携帯電話としての最低限の機能は利用できると考えてよいでしょう。ただし、格安SIMではできないことも存在します。こちらについては、後ほど詳しく解説します。

格安SIMのメリット

格安SIMを利用するメリットとしては、大きく次の3点が挙げられます。

月額料金が安い

格安SIMの仕組み上、大手キャリアに比べて月額料金を安く設定することが可能です。大手キャリアを利用している場合、毎月5,000円を超える場合も多いでしょう。対して、格安SIMであれば毎月2,000円~3,000円程度に抑えることも可能です。

豊富な料金プラン

格安SIMの料金プランは細かく設定されており、自身に適したプランを選択することでより月額料金の最適化が行なえます。例えば、データ容量が500MBという少量のものから無制限まで段階的に用意されており、使い方に応じて選択することが可能です。

契約の柔軟性

多くの格安SIMは契約期間の縛りがありません。違約金・解約金が発生しない場合が多く、かかっても1,000円程度が主であるため、柔軟に契約を変更できます。一度利用してみて、満足できない場合は別の格安SIMに変更する、ということが可能です。

格安SIMのデメリットやできないこと

さまざまなメリットがある一方で、デメリットやできないことも存在します。

キャリアのメールアドレスが使えない

大手キャリアと契約すると、キャリアメールと呼ばれる無料で利用可能な独自のメールアドレスが付与されます。しかし、格安SIMではキャリアのメールアドレスが付与されない場合がほとんどです。ただし、近年では無料でメールアドレスを取得する方法もあるため、スマートフォンであれば特に問題はないでしょう。

家族間や同キャリア間の無料通話ができない

大手キャリアでは家族間や同キャリア間の無料通話が可能となるプランが用意されています。格安SIMのなかにも同様のプランを用意している場合がありますが、多くは用意されていません。しかし、無料の音声通話アプリなどで代用することができます。

LINEのID検索の制限

無料のコミュニケーションツールとしてLINEを利用する方は多いでしょう。しかし、格安SIMを利用する場合、LINEのID検索ができない場合があるため注意が必要です。ID検索をするためには年齢認証が必要になりますが、MVNOは対応していないことがほとんどであるためです。

その他にも、格安SIMについて知っておきたい注意点などをこちらの記事でまとめているため、併せてご覧ください。
格安SIMのデメリットとは? 知っておきたい注意点など

格安SIMの導入手順

最後に、格安SIMを導入する際の手順・流れを簡潔に解説します。

1.MVNOを選ぶ

格安SIMを提供するMVNOは、それぞれ特徴が異なります。どの大手キャリアから回線を借りているか、通信速度やつながりやすさはどうか、自身に適したプランが用意されているか、などを基準にMVNOを選ぶとよいでしょう。

MVNOについては、こちらの記事でも解説しているため併せてご覧ください。
MVNOとは? MVNE・MNOとの違いとそれぞれの役割

2.スマホを選ぶ

キャリア・MVNOを切り替える(回線を切り替える)だけで、既存のスマートフォンをそのまま利用することも可能です。ただし、SIMフリーでない端末の場合にはSIMロックを解除する必要があります。SIMロックは「端末にかかっている利用可能な回線を限定する制限」であり、解除しなければ他の回線を利用できません。

また、多くのMVNOでは回線契約と併せて安価にスマートフォンを購入することができます。SIMロックを解除しても機種によっては回線に対応していないこともあるため、新規購入と併せて実施すると間違いないでしょう。

3.MNPによる電話番号の引き継ぎ

MNP(Mobile Number Portability)とは、通信事業者を変更しても電話番号を継続して利用できる仕組みです。現在契約している通信事業者に連絡してMNP予約番号を取得し、切り替え予定のMVNOに連絡することで電話番号を引き継げます。

4.格安SIMの契約・受け取り

MVNOと契約したら、SIMカードとスマートフォンを受け取ります。手持ちのスマートフォン・SIMカードをそのまま利用する場合は次の手順に移ります。

5.格安SIMのセットアップと開通

スマートフォンにSIMカードをセットし起動したら、APN設定(ネットワークの設定)を行います。APN設定はどの回線に接続するかを設定するものであり、通信事業者ごとに設定内容は異なります。APN設定についてもこちらの記事で説明しています。
SIMカードの入れ替え方法は? 注意点や機種変更について解説

APNを設定したらWi-Fiをオフにし、モバイル回線でインターネットへの接続が可能か、電話が利用可能かを確認しましょう。

スマートフォンの毎月の利用料を抑えたいと考える方にとって格安SIMはおすすめです。いくつか注意すべき点は存在しますが、格安SIMは料金プランも多く契約も柔軟に行えます。格安SIMはさまざまなMVNOから提供されており、それぞれに特徴が異なるため事前に確認しておくと良いでしょう。この記事では格安SIMの導入手順も簡潔に解説したため、これらを参考に格安SIMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。