防犯カメラを選ぶときには、カメラの画素数に注目する必要があります。画素数が高いか低いかで得られる情報量が変わるだけでなく、他にも考慮すべきことが出てきます。そもそも防犯カメラにおける画素数にはどのような意味があるのか、なぜ画素数が重要なのか、そして防犯カメラに求められる画素数の目安などについて解説します。
画素数とは
画素数とは、カメラで撮影した画像や映像を構成する画素（ピクセル）の数のことです。画素数が多いほど細かい部分まで鮮明に表現でき、得られる情報が多くなります。
防犯カメラは、かつてはアナログカメラ（CCTVカメラ）が使われていて、画素数は25万画素～52万画素のものが主流でした。アナログカメラの防犯・監視カメラは縦横の比率が4(横)：3(縦)、解像度720×486ピクセルのNTSC方式という規格が採用されていて、この画素数が約35万画素です。
その後、ネットワークカメラが登場すると、一気に画素数が増えていきます。その背景にはデジタルカメラやスマホのカメラの高画質化やテレビのデジタル放送が普及していったことなどが挙げられます。
100万画素を超える画素数はメガピクセルと呼ばれました。解像度1280×720のHDと呼ばれる規格は約100万画素、1280×960のSXVGAは約130万画素です。そしてその上の解像度1920×1080のフルHDは約210万画素となっています。200万画素以上のカメラは2メガピクセルと呼ばれることもあります。
現在ではそれよりもさらに鮮明な表現ができる4K、つまり解像度3840×2160、画素数にすると約830万のネットワークカメラも登場しています。その上の8Kは7680×4320ピクセル、約3300万画素です。8Kは4Kと比較すると画素数4倍、フルHDと比較すると画素数16倍にもなります。
防犯カメラの画素数が重要な理由
画素数が低い（少ない）カメラで撮影した映像はどうしても荒い見た目になります。35万画素程度のアナログカメラでも人間の服装や顔の特徴などをある程度とらえることができますが、拡大するとぼやけた感じになってしまいます。車のナンバーも判別できるかどうか微妙なところです。どれくらい近くで撮影しているかにもよりますが、例えば犯罪の証拠として使用するには心許ないといわざるを得ません。
それに対し、メガピクセルやフルHDくらいの画素数の高さであれば、かなり映像が鮮明になります。とくにフルHDの場合には、拡大してもかなりはっきりと顔の特徴や車のナンバーが判別できるはずです。
ではそれ以上の画素数の場合はどうかというと、確かにより鮮明にはなりますが、一方でデータ量も大きくなります。録画するにしてもハードディスクなど記録媒体の容量がそれだけ多く必要になり、データ送信の速度にも影響します。また、画素数が高いほど夜間などの暗い場所を映すのは不得意になるという傾向もあります。
また、最近のパソコン用モニターなどはフルHDなら対応しているものが増えていますが、4Kや8K対応のモニターはまだそれほど多くは使われていません。仮にカメラの画素数が高くても、モニターが対応していなければその解像度・画質で見ることはできないので注意しましょう。
防犯カメラに必要な画素数の目安
2021年現在、防犯カメラ（ネットワークカメラ）の画素数は200万画素～400万画素のものがよく使用されています。コンビニの防犯カメラなども、最近設置されたものであれば200万画素以上のものが多いのではないかと思われます。
35万画素程度のアナログカメラもまったく使われていないというわけではありません。ただ、かなり古くに設置されたものがそのまま使われているか、一般家庭用の玄関や駐車場、小規模の飲食店などの防犯カメラとしてというケースが多いでしょう。
どれくらいの画素数のものを選ぶべきなのかは、防犯カメラを設置する場所や用途によって変わってきます。
企業などが使用する、屋内外の防犯カメラ、監視カメラならメガピクセルクラスのネットワークカメラで事足りるでしょう。夜間の撮影は赤外線照明投射機能が搭載されていればカバーすることができます。店舗内などの人の動きや流れを把握したいときなども同様です。
一方、店舗に並べた商品の監視、食品工場などでの異物混入対策用の監視、あとで拡大して確認する可能性のある映像記録用などの用途なら、フルHD以上の監視カメラを使うのがおすすめです。
ただ、防犯カメラの性能は数年前と現在では大きく変改しています。今後も急激に性能がアップする可能性が高く、すぐに4Kや8Kが標準になる時代が来るかもしれません。4Kカメラであれば、一部を拡大してもフルHD並かそれ以上の鮮明さで映像を見ることができます。そのため、遠くから1つの防犯カメラで広い空間をカバーすることができます。例えば公共の広場、屋外駐車場、公園などに画角の広い4Kカメラを設置すれば、通常2台のカメラで監視する範囲を1台でカバーできる可能性があります。
防犯カメラや監視カメラを使用するときは、カメラの画素数にも注意しておきましょう。どこに設置し、どんな目的のために使用するのかを考え、またコスト面も考慮して、最適な画素数のカメラを選んでください。
