いまや工場内の監視カメラの設置は不可欠なものとなっています。その理由は単に工場内における犯罪を防止するだけではなく、衛生管理や品質管理、従業員の作業や機械の動作の見える化、事故防止などにも幅広く活用できるためです。工場に監視カメラを設置することにはどのようなメリットがあるのか、そしてデメリットについてはどうなのかなど、工場内の監視カメラについて押さえておくべきポイントについて解説します。
工場に監視カメラを設置する目的
工場に監視カメラを設置するのはどのような目的が多いのでしょうか。代表的な例を6つ挙げて紹介します。
衛生管理
食品工場の製造ラインなどを撮影し、衛生管理を行うための監視に使われています。例えば異物混入などの何らかの事故が発生したときに、製造された日時から製造過程の録画映像を探し出し、保健所などに証拠映像として提出するといった使い方がされています。また、日頃から何か問題が起きていないかを監視するためにも役立ちます。
製品の品質管理
食品以外の製品の製造工程も監視カメラでモニターすることで、品質を基準以上に維持できるようになります。高解像度のカメラを使えば、製造過程にある製品の細部、あるいは伝票やタグの文字も見分けることが可能です。何か問題があったときに、その原因を突き止めるために録画データが利用できるのもメリットです。
従業員の監視
工場内の作業の様子を撮影することで、従業員が規則を守っているか、担当する作業を着実にこなしているかなどを確認し、従業員管理に役立てることができます。怠慢防止などにつなげられれば、作業効率が上がり、生産性もアップするでしょう。加えて、管理者による見回りの手間も軽減することが可能です。
防犯
不審人物の侵入、製品や部品の盗難、機密情報の持ち出しなどの犯罪を防ぐためにも監視カメラは役立ちます。インターネットに接続するネットワークカメラなら、夜間など管理者が不在の時間帯でも遠隔地からスマホなどで工場内の様子を確認することが可能です。また、防犯用のカメラは出入口や工場の外に取り付けるケースもあります。
事故防止
工場内の安全管理のためにも監視カメラは必要です。作業中の事故につながるような人の動きがないか、機械に異常はないかなど、事故につながるような兆候をチェックして事故防止に役立てることができます。工場の機械や装置には異常や故障を知らせる警告灯などが付いていますが、その様子をカメラで遠隔監視していち早く察知する仕組みを作っている工場もあります。
24時間稼働生産ラインの監視
24時間稼働する生産ラインなどを管理者が遠隔地から確認するためにも監視カメラを活用できます。作業員が少ない深夜の時間帯に何か問題が起きたときなど、遠隔からすぐにカメラで工場内の様子を見られるのは大きな助けになります。
工場に監視カメラを設置するメリット
上述したように、工場における監視カメラはさまざまな役割を担うことができます。とくに最近のネットワークカメラは画質が向上し、インターネットを介してスマホなどで遠隔からの監視、さらにはズームや角度調整などの遠隔操作ができるため、利便性が増しています。
そのことを踏まえて改めて工場に監視カメラを設置するメリットを再確認すると、以下のことが挙げられるでしょう。
- 人件費削減
- 業務効率化
- 生産性向上
- 製品の品質保持
- 従業員管理
- 安全性の確保
- いたずらや犯罪の抑止
- 内部不正防止
さらに最近では、IoT技術の進歩やセンサーの性能向上により、不良品識別や異物感知、伝票やラベルの内容認識、従業員の顔認識なども実用化されつつあります。これらも含めるなら、監視カメラの役割はさらに重要かつ大きなものになっているといえます。
工場に監視カメラを導入する際のデメリットや注意点
一方、工場への監視カメラの導入にはデメリットもあります。とくに問題になりやすいのが、従業員のプライバシーとの兼ね合いです。
監視カメラを運用する事業者に必要な個人情報の取り扱いについては、経済産業省や各自治体によるガイドラインが定められています。ガイドラインには工場の場合は監視カメラの設置について事前に従業員に通知することや、撮影する範囲を必要最小限にとどめてプライバシーに配慮することなどが記載されています。
また、顔が鮮明に映り、個人が特定できる映像や画像は個人情報に該当します。そこで経済産業省・総務省が作成した「カメラ画像利活用ガイドブック」には、事業者によるカメラ画像の取り扱いについての注意事項が記載されています。こちらも一度目を通しておきましょう。また「防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置はプライバシーの問題になる?」も参考になるかと思います。ぜひ併せてご確認ください。
工場に監視カメラを設置するメリットについて知れば、「監視だけが目的ではない」ことが理解できるはずです。工場での監視カメラの役割は、今後ますます重要さを増していくでしょう。その一方で注意点についても留意することが求められます。自社の工場内での監視カメラの活用法について、より広い視点で検討してみてはいかがでしょうか。