さまざまなモノをインターネットとつなぐことで、私たちの生活を便利にしてくれる「IoT(Internet of Things)」。近頃では、飲食店やスーパーなどの店舗でもPOSシステムのIoT化が進んでいて、その利便性に注目が集まっています。
そこで今回は、POSシステムのIoT化について、そのメリットや導入の注意点を詳しく説明していきます。
POSシステムのIoT化
「POS(Point of Sales)=販売時点情報管理」システムというのは、販売されたすべての商品の売り上げ実績を、販売された時点で個別に管理・データ化する仕組みのことです。
主に売上登録機能やお釣りの計算機能、決済機能の他、売上分析、商品情報登録、顧客情報登録、在庫管理といった機能が備わっていて、このシステムをパソコンや店舗のレジに搭載することで、パソコンPOSやPOSレジとして幅広い場面で活用することができます。そして、近年はPOSシステムをインターネットとつなぐ「IoT化」が進んでいて、さらにその利便性が広がっています。
例えば、従来のPOSレジでは、専用のレジやバーコードを読み取る端末の他、売り上げデータをはじめとする膨大な情報を管理するためのサーバなど、実に多くの機器を準備する必要があり、導入コストも100万円以上と大変な負担でした。
ところが、IoT化によってPOSシステムがインターネットとつながったことで、クラウドと呼ばれるインターネット上のデータの保管場所を利用することができるため、サーバの設置が不要となりました。また、レジの代わりにタブレット端末を利用することができるようになったため、POSを導入する際の初期費用を大幅に削減することが可能になったのです。
POSをIoT化するメリット
では、実際にPOSシステムをIoT化し、クラウド上でデータ処理が出来るようになる事で、現場ではどのようなことが可能になるのでしょうか。POSをIoT化・クラウド化する主なメリットを詳しくご紹介します。
情報の送受信が容易になる
セールなどで商品の価格を変更する場合、複数のPOSシステムの価格を一括して管理することができます。クラウド型のPOSシステムを利用している場合には、系列店舗の価格設定データを一括で変更することも可能です。さまざまな情報の送受信が容易になるという点は、IoT化する大きなメリットのひとつだといえるでしょう。
リアルタイムに正確なデータが得られる
POSシステムをIoT化することで、顧客管理や在庫管理のシステムと連動してリアルタイムに正確なデータを表示し確認することができます。これによって、実店舗とネットショップの両方を運営している場合も、商品管理がしやすくなります。
蓄積したデータが活用できる
POSシステムとIoTを組み合わせることで、「いつ、どんな商品が、いくつ売れたか、どんな顧客が買ったか」といった店舗にとって価値のあるデータを蓄積することができます。集めたデータをクラウドで分析することで、売れる商品と売れない商品の傾向が明確になるだけでなく、どの季節にどのような商品が売れるのかなどを知ることができるため、商品開発や顧客満足度の向上につなげることも可能です。
業務負担を減らすことができる
商品のバーコードをスキャンするだけで金額をはじめとするさまざまなデータを読み込むことができるため、正確にかつスピーディーに会計を行うことができます。また、閉店後のレジ締めも圧倒的に簡単になり、業務負担の軽減を実現することも可能です。
サーバの管理運用などの負担を軽減できる
クラウドのPOSシステムを使うと、サーバの管理・運用のために必要なコストを大幅に軽減することができます。コストを抑えてPOSシステムのIoT化を行いたい場合におすすめです。
多様な決済方法に対応できる
キャッシュレス決済が普及しつつある現在では、クレジットカード決済以外にもさまざまな決済方法を提示できるのが理想的です。POSをIoT化することで機能をアップデートしていくことが可能になり、電子決済など顧客のニーズに合わせた決済方法に対応できるようになります。
POSシステムのIoT化を進める際の注意点
最後に、POSシステムのIoT化を進めるにあたって、確認しておくべき注意点について詳しく見ていきましょう。
セキュリティ対策を行う
IoTを導入している全ての店舗は、安全な回線の確保をはじめセキュリティ対策を行うことが総務省によって義務付けられています。不正アクセスやウイルスをはじめとするあらゆる脅威に対して万全の対策を講じることで、情報漏洩などのリスクを軽減することにもつながります。
同業他社の導入事例を確認する
POSのIoT化には多くのメリットがありますが、それが全ての店舗に当てはまるかというと、必ずしもそうとは限りません。IoTの導入がその店舗に最適なシステムかどうかを見極めるためにも、同業他社の導入事例を事前にしっかりとチェックしておくことも大切です。
導入前に現場の理解を得る
使い慣れたPOSシステムを新しくするということは、現場のスタッフにとって負担となることもあります。混乱を招かないためにも、あらかじめ導入の意図を丁寧に説明し、新システムの使い方などの説明なども時間をとって行う必要があります。
POSシステムのIoT化は、店舗側にとって業務の効率化など多くのメリットがあります。まずは上記でご紹介した内容を参考にした上で、POSシステムのIoT化を検討してみてはいかがでしょうか。