IoTで使われるセンサの種類や活用例について解説

機械やシステムが外界の情報を得るための各種センサは、今や生活や社会のいたるところで活用されています。IoTにとってもセンサは重要な役割を担う機能となっています。どのようなセンサが存在し、IoTに活用されているのか、その概要と活用例をご紹介します。

IoTで重要なセンサとは

IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と訳されます。

テレビやデジタルカメラ、スマートスピーカーなど、最近はPCやスマートフォン以外にもインターネットにつながるものが増えています。スマホでドアロックの施錠/解錠ができて、スペアキーも発行可能というスマートロックや、財布やキーケースなどに付けておけばそれらをどこかに置き忘れたときにスマホで探すことができるスマートタグなど、ユニークで便利なIoT製品が次々と登場しています。

そんなIoTの進化に伴い、重要な役割を担うようになっているのがセンサ(IoTセンサ)です。センサとは、自然界の物理現象や化学的性質などを、電気信号に変換するための装置です。人間に五感があるように、センサはIoTデバイスの感覚器官として機能します。

スマートフォンや多くのIoT家電にもセンサは搭載されています。さまざまな製品を製造している工場でもIoT技術が活用されていて、そこでもセンサが活躍しています。工場内の設備や機械をセンサ付きIoTデバイスがリアルタイム監視していて、異常発生を検知するとすぐに知らせてくれる、といった仕組みが代表的なものです。

IoTで使われるセンサの種類と活用例

IoTでよく使われるセンサにはどのような種類があるのか、その概要を活用例とともに紹介します。ここで挙げているもの以外にも多くのセンサがあり、今も新しく開発されています。

GPS

カーナビやスマホ、携帯電話などに使用されているセンサです。Global Positioning Systemの略称で全地球測位システムと訳されます。複数の人工衛星との距離を測定することで現在位置を特定します。

最近は位置情報を記録できるGPS機能付きのデジカメが増えています。他に、子供などに持たせておくと位置情報が把握できる見守り用のGPS機能付きIoT製品もあります。

温度センサ

温度センサには多くの種類があります。物体の温度変化に伴って変化する電気的特性や物理的特性を検出して温度を測定する、というのが大まかな原理です。

活用例としては、エアコンの自動温度調節機能が挙げられます。また、業務用冷蔵庫の庫内温度を測定してクラウド上にデータを蓄積して管理するシステムもあります。他に工場内や建物内の異常な熱の発生を検知するなど幅広く活用されています。

湿度センサ

湿度センサには大別して伸縮型と電子式があり、電子式には電気抵抗式と静電容量式の2種類があります。

建物内の湿度調整、ビニールハウスや倉庫、運送用トラック荷台などの湿度管理に活用されています。医療現場など、温度センサとセットで使用されるケースも多く見られます。

加速度センサ

速度の変化=加速度を測定します。加速度を測定して信号処理を行うことで、傾き、動き、振動、衝撃などを検知することができます。

スマホを縦向きから横向きに変えると画面内の動画の向きが変わる機能も加速度センサの働きです。ゲーム機のコントローラーにも加速度センサが組み込まれているものがあります。

光センサ

光の強さや断続を検知するセンサです。照射される光の変化を捉えて、それを電気的信号に変換します。可視光だけではなく、赤外線や紫外線、X線なども対象となります。

デジカメなどに使われているCMOSやCCDは撮像素子と呼ばれ、画像を電気信号に変換する高度な光センサの一種です。

一方、光が当たったかどうかを「0か1か」で判定する単純な光センサもあります。こちらは自動ドアや自動改札機などの人感センサや超音波センサなどとして使われています。また、工場の設備の稼働状況を知らせるシグナルタワーに光センサを取り付けてすべての設備の稼働状況を一元管理するなど、さまざま応用例があります。

圧力センサ

ダイアフラムという膜の変形の度合いを感知する、といった原理によって圧力を計測して電気信号に変換するセンサです。

血圧計や体重計、掃除機、洗濯機などに使われている他、液体タンクの残量モニタリング、工作機械の油圧管理、殺菌洗浄機器の水圧管理などの活用方法があります。

音センサ

音圧による振動を検出するセンサです。原理的にはマイクそのものともいえます。スマホやさまざまな録音機器に使われています。

ジャイロセンサ

傾きや角度、角速度を検知するセンサです。人が感じにくい運動を正確に捉えられるので、人の動作を補うのに有効です。

ジャイロセンサはもともと船や飛行機、レーシングカー、スペースシャトルなどで使われていました。しかし、その後、活用範囲が拡大。振動ジャイロセンサが小型ビデオカメラ、デジカメの手ブレ補正、ゲームのモーションセンシング、自動車の横滑り防止などに使用されています。今後は自動運転やロボットの動作制御などにも活用分野が広がるとされています。

IoTではさまざまなセンサが活用されています。測定の方法も変化量を読み取るだけでなく、センサ側からレーザーや超音波などを発して対象物の状態を測定するアクティブ型のセンサもあり、今後、技術が洗練され、成熟していけば、現在よりもさらに画期的なセンシング技術が生まれ、新たな活用事例も生まれていくでしょう。IoTと各種センサの進化に注目しておきましょう。