IoTネットワークには、高速通信や省電力化、高度なセキュリティなど、様々な機能がありますが、それぞれの特性を理解し、目的や用途に合わせた選択・運用が必要です。
本記事では、IoTネットワークの機能や方式、また適切なIoTネットワーク方式を選ぶポイントなどについて解説します。IoTネットワークの基本を押さえておきたい方はぜひご覧ください。
IoTネットワークの機能
IoTネットワークとは、インターネットに接続された様々なデバイスやセンサがお互いに通信し、データをやり取りするための仕組みです。
例えば、温度や湿度などの環境センサ、車両や家電製品の情報を取得するセンサ、医療機器などが含まれます。これらのデバイスやセンサは、IoTネットワークを介して、クラウドやサーバ、スマートフォンなどの端末と通信し、集められたデータを分析したり、通信を介してIoT機器を制御したりできます。
IoTネットワーク方式の種類
IoTネットワークで用いられる通信方式には、大きく2つの種類があります。
1つ目は直接通信方式です。IoTデバイス同士が直接通信を行い、通信を中継する機器を必要としない方式で、IoTデバイスが分散している場合に適しています。
2つ目はデバイスゲートウェイ方式です。IoTデバイスとデバイスゲートウェイと呼ばれる機器が通信を行い、デバイスゲートウェイがクラウドとの通信を中継します。この方式は、IoTデバイスが集中している場合に適しています。
それぞれの方式について、次項以降で詳細を説明します。
IoTネットワークの直接通信方式とは
IoTネットワークの直接通信方式は、デバイス同士が直接通信する方法です。この方式では、IoTデバイス同士がネットワークに接続し、情報をやり取りすることができます。通信範囲が広いため、センサネットワークに適しています。
IoTネットワークのデバイスゲートウェイ方式とは
デバイスゲートウェイ方式では、IoTデバイスの通信をデバイスゲートウェイと呼ばれる中継装置が中継します。デバイスゲートウェイは、複数のIoTデバイスと通信を行うことができ、通信相手となるネットワークに対しては1つの通信口を持つことができます。
この方式では、IoTデバイスが直接通信できない場合にもデバイスゲートウェイを介して通信を行うことができるため、デバイスの接続性やセキュリティ性などを高められるといったメリットがあります。ただし、デバイスゲートウェイが必要になるため、導入コストが高くなる点がデメリットです。
以下に、IoTネットワークに利用される技術の各概要を説明します。
Bluetooth
Bluetoothは、近距離無線通信技術の一種で、主に携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの機器間でのデータ通信に使用されます。IoTデバイスの中でも、IoTスピーカやIoTセンサなど、簡易的な通信が必要なものに適しています。
ZigBee
ZigBeeは、近距離無線通信技術の一種で、低速・低電力通信が可能なIoTデバイスに使用されます。特に、ネットワーク内での小規模な通信が必要な環境に適しています。スマートホームやビルの自動化、産業用途などで広く利用されています。
Z-Wave
Z-Waveは、近距離無線通信技術の一種で、ZigBeeと同じく低速・低電力通信が可能なIoTデバイスに使用されます。主にスマートホーム向けに開発された通信規格で、他のIoTデバイスとの相互運用性が高いことが特徴です。
LPWA
LPWA(Low Power Wide Area)は、IoTデバイスに適した、低速で低消費電力の広域通信規格です。LPWAは、広い範囲をカバーすることができ、電池の寿命が長いため、センサネットワークやスマートメータなどのIoTデバイスに広く利用されています。
適切なIoTネットワーク方式の選びのポイント
IoTネットワークを選ぶ際には、次のポイントに注目しましょう。
まず、IoTネットワークの選択は、そのネットワークを利用する目的や用途に合わせて行う必要があるという点です。例えば、家庭内のスマートデバイス同士を接続する場合には、低コストで省電力なZigbeeやBluetoothを使用することが適しています。一方、産業用途では高度なセキュリティや大量のデータを扱う必要があるため、LTE-M(Machine-type-communication)やNB-IoT(Narrow Band-IoT)のような、比較的高速通信に適したLPWAを選択することが求められます。
また各IoTネットワークにはそれぞれ独自の特性があるため、各方式の特性を理解した上で選ぶことも大切です。例えば、Zigbeeは低コストで省電力な反面、データ量の制限があるため大量のデータを扱うことができません。Bluetoothは近距離通信に適していますが、屋内では壁などによって通信が妨げられることがあります。LTE-MやNB-IoTは高速通信に適していますが、専用のインフラが必要でコストがかかります。
IoTネットワークの選択に関してよくわからない場合には、IoTネットワークに関する専門知識を持ったベンダーやコンサルタントに相談することをおすすめします。自社でIoTネットワークを構築する場合には、専門知識を持った技術者の雇用も検討するとよいでしょう。
IoTネットワークの機能や通信方式の種類について解説しました。IoTネットワークは、目的や用途に合わせた選択と各方式の特性への理解が重要です。
適切なIoTネットワークを選択することで、高速通信や省電力化、高度なセキュリティなど、自社のニーズに合わせたIoTサービスを提供できます。