ドイツで提唱されたIndustry4.0に対して、日本政府が提唱するSociety5.0はどのようなものなのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。用語としては似ていますが、それぞれ正しく理解することが大切です。ここでは、Industry4.0とSociety5.0の概要や違いなどについて詳しく解説します。
Industry4.0とは
Industry4.0とSociety5.0の違いを知るためには、それぞれを理解する必要があります。まずは、Industry4.0について詳しく見ていきましょう。
Industry4.0の概要
Industry4.0(インダストリー)とは、ドイツで提唱された「今後の製造業や産業のあり方」を示したものです。Industry4.0の前に、Industry1.0~3.0があります。それぞれの内容は次のとおりです。
・Industry1.0
Industry1.0は、1800年代にイギリスで登場した石炭とタービンで成り立つ蒸気機関を用いた産業革命のことです。これをきっかけに「生産の機械化」が始まりました。資本家と労働者という階級が明確化され、同時に企業が誕生したのです。
・Industry2.0
Industry2.0は、1900年代に登場した発電機とモーターによる電気機械を用いた産業革命のことです。これをきっかけに機械産業が生まれ、多くの巨大企業が登場しました。
・Industry3.0
Industry3.0は、1970年代に登場したIT革命のことです。生産業では、ITによって生産工程全体の自動化(オートメーション化)を実現しました。
・Industry4.0
Industry4.0は、第4次産業革命のことで、スマート工場を中心としたエコシステムの構築を行うものです。具体的にはあらゆる設備やシステムをインターネットに接続し、そこで蓄積される様々なデータを、AIなどを使って解析して新たな製品・サービスの開発につなげる仕組みなどがあげられます。
Industry4.0で何が変わるのか
Industry4.0によって、できるだけ人の手をかけない形で利益を得ることが可能になりました。マーケティング活動においてはSNSやWeb広告、オウンドメディアなどを活用し、半自動的に集客します。注文から生産、物流、アフターサービスにおいてもAIや機械を活用することで顧客単位に最適化した対応が可能になります。
Society5.0とは
続いて、Society5.0について詳しく見ていきましょう。
Society5.0の概要
Society5.0(ソサエティ)は日本で提唱されたもので、Societyは日本語で「社会」を意味する言葉です。
Society1.0は狩猟社会、Society2.0は農耕社会、Society3.0は工業社会のことで文明開化により重化学工業が誕生しました。Society4.0は、IT革命による情報社会のことで、インターネットや携帯電話の普及、業務のデジタル化などが進みました。
そしてSociety5.0は「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されており、これから日本が目指していく「超スマート社会」を指しています。Society5.0では、より高度な技術を活用し、経済発展と社会課題の解決を両立します。
Society5.0が解決する課題
Society5.0によって、次のような課題解決が期待されています。
・SDGs
SDGsは持続可能な社会を目指すための取り組みであり、Society5.0は中でも「持続可能な産業化」に繋がります。再生エネルギーの開発やAIによる使用電力の最適化、省電力化など、さまざまなからSDGsの実現を支援します。
・社会コストの削減
IoT、M2Mといった技術により機器同士が繋がることや、それを応用してAIやロボットと連携・活用することによって、人材不足の課題を解決して社会コストを削減できる可能性があります。
・フードロス
ICT(情報通信技術)やロボットなどの活用により効率的な生産を行うことで、需要量に見合った量の計画的な生産が可能です。その結果、食品ロスの解消に繋がる可能性があります。
Industry4.0とSociety5.0の違い
Industry4.0とSociety5.0の違いは対象としている範囲です。Industry4.0製造業における技術革新が主軸ですが、Society5.0は社会全体を対象としています。
Industry4.0、Society5.0の推進は、さまざまな課題の解決につながります。Industry4.0、Society5.0の取り組みとして、AIやIoTの活用、マーケティング活動のデジタル化など、さまざまな方法を導入してみてはいかがしょうか。
Society 5.0についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
「Society 5.0 とは? 重要な技術や実現に向けての取り組みも解説」