デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いとは? DXと併せて解説

経済産業省が提唱した「2025年の崖」で注目されている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。日々目まぐるしく移り変わる市場に適応するためにも、DXでのデジタル化は日本企業にとっての最重要課題だと言われています。ですが実際には、DXの重要性は認識しつつも、「何から始めたら良いのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、DXを実現させるための重要なステップとして理解しておくべき「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」について詳しく解説していきます。

デジタイゼーションとは

「デジタイゼーション(Digitization)」というのは、DXにたどりつく前の最初のステップです。デジタル技術やIoTなどの活用によって、今までアナログで行っていたさまざまな作業をデジタル化することで、業務の効率化やコスト削減につながるかどうかがポイントになります。では、実際にデジタイゼーションの具体例をいくつか見ていきましょう。

紙書類から電子書類へ

印刷の手間やコストを削減でき、必要な情報を簡単に探すことができる。

対面商談からオンライン商談へ

zoomなどのツールを活用することで、オンライン上で商談を行うことができる。

アナログ放送からデジタル放送へ

周波数帯域を効率よく使うことができ、電波資源の有効活用につながる。

アナログ広告からオンライン広告へ

広告の印刷コストを削減できるだけでなく、オンライン広告によって反響率などを把握しやすくなる。

このように、デジタイゼーションではあくまでも「プロセスそのものを変化させることなく、アナログデータをデジタルデータに変換する」ことを指します。デジタイゼーションを実現することによって、DXに向かう次のステップである「デジタライゼーション」へとつながっていきます。

デジタライゼーションとは

次に、「デジタライゼーション(Digitalization)」について詳しく説明していきます。
デジタライゼーションというのは、DXに向かうための2つめのステップで、デジタイゼーションの次の段階を指します。簡単に言えば、「プロセス全体をデジタル化すること」で、その結果業務の方法が変化して効率化が進んでいきます。単純に「紙の書類をPDF化する」という局地的なものではなく、例えば商品のオーダーから支払い、承認プロセスも含めて幅広い範囲をデジタル上で行うのです。
では、実際に私たちの身近にあるデジタライゼーションの具体例を詳しく見てみましょう。

自家用車からカーシェアリングへ

自家用車の使用状況をインターネット上で管理し、空いている時に必要な人へシェアできるようにする。

音楽のダウンロードからストリーミングへ

CDを購入したりネットからダウンロードしたりが一般的だった音楽も、ストリーミングの導入によっていつでも聴くことができるようにする。

映画レンタルからサブスクリプションへ

ビデオショップやネットなどでレンタルしていた映画なども、月額制(サブスクリプション)サービスの利用によっていつでも観られるようにする。

デジタイゼーションとデジタライゼーションの違い

デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いは、ひと言で表すなら「デジタル化する範囲の違い」ということです。
例えば、デジタイゼーションは一部の業務のみをデジタル化していて、業務プロセスそのものは変化しません。一方、デジタライゼーションは全てのプロセスやワークフロー全体をデジタル化することで効率化につなげます。

DXと「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」

DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタイゼーション、デジタライゼーションの関係を一言で表すなら、DXというのは、「デジタイゼーションとデジタライゼーションの結果として、社会的な影響を生み出す」ことです。

例えば、近年企業の多くがSNSを活用するようになったのもDXの具体的な事例のひとつと言えるでしょう。SNSを活用することによって、マーケティングをDX化して、新しいビジネスモデルへとつなげていくのです。

また、DXの代表的な成功事例のひとつには、不動産会社の「オンライン内見」が挙げられます。近年多くの不動産会社がVRやスマホを活用したオンライン内見を実施していて、成約率がアップしたところもあるそうです。

デジタイゼーションとデジタライゼーションを経てDXへとつなげることで、ビジネスモデルを市場に合わせて柔軟に対応していくことができるというわけです。

デジタイゼーションとデジタライゼーションというのは、DXを実現するためには絶対に欠かすことができない大切なステップです。上記でご紹介した内容の他にDXについてさらに詳しく知りたいという方は、別記事「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何かわかりやすく解説」も参考にしてみましょう。