アップロード(上り回線)が遅い! 原因や早くするための対策を紹介

インターネットを利用していると、まれにダウンロードの速度は遅くないのに、アップロードの速度だけがかなり遅くなることがあります。その場合は「インターネット速度測定」ができるWebサイトで、下り回線と上り回線の速度を測定してみましょう。その上で明らかに、また多くの時間帯でアップロードの速度だけが遅いとわかった場合は、この記事を参考に原因を探ってみてください。

通信速度の基礎知識

「アップロードの速度」について説明する前に、インターネットの通信速度について基礎的なことをおさらいしておきましょう。

通信速度の単位

インターネットの通信速度は「bps」という単位で表されます。bpsは「bit per second」の略で、1秒間に何bit(ビット)のデータを転送できるかを示します。

bitはデータ(情報)の量を表す単位です。コンピュータで処理する情報量の最小単位でもあります。「1bit」はコンピュータが扱う最小の情報が1つある状態(0か1かの2つの状態を表せる)を示します。

ちなみに、通信速度を表す場合の多くは、1Kbps(キロbps)は1,000bps、1Mbps(メガbps)は1,000Kbps、1Gbps(ギガbps)は1,000Mbpsとなります。

通信速度や回線速度を表すときは、このbps表記が使われるのが一般的です。

但し、コンピュータの容量等では1Kbpsを1,024bpsと換算することがあります(しないこともあります)。このあたりは混同しやすく、一般的な表記でも厳格な使い分けはされないこともあるので、注意が必要です。

上り回線・下り回線

インターネットの回線には上りと下りがあります。

上りはアップロードする方向の回線のことを指します。パソコンやスマホから、インターネットにデータを送信する際の速度が「上り回線速度」もしくは「上り速度」です。メールの送信、動画や画像のアップロード、SNSの書き込みなどが該当します。

これに対し、下りはダウンロードする方向の回線です。インターネットから送信されたデータをパソコンやスマホで受信する際の速度が「下り回線速度」もしくは「下り速度」です。メールの受信、ブラウザでのWebサイトの閲覧、動画視聴などが該当します。

上り回線の速度の目安

アップロードの速度は、使用する回線の種類によって異なります。光回線(フレッツ光)では、上り回線の最大速度は1Gbpsです。ただし、これは理論上の最大値で、実際のアップロード速度は190Mbps前後となります。スマホやモバイルルータ(5G回線)のアップロード速度は、理論値で最大10Gbps、実測値は10Mbps前後です。

アップロードの通信速度を確認する方法

アップロードの通信速度は、回線速度を調べるサービスを提供するWebサイトやアプリで確認できます。例えば、「Fast.com」や「Speedtest.net」などのWebサイトにアクセスすると、使用している回線のアップロード速度を見ることが可能です。また、Googleで「スピードテスト」と検索し、速度テストを実行と書かれたボタンをクリックすると通信速度が計測できます。スマホアプリでは、「Speed Test Master」や「RBB SPEED TEST」などでアップロード速度を確認できます。

アップロードが遅いことによって発生する問題

アップロード速度が遅いと、データの送信が必要なさまざまな場面で問題が発生します。

例えば、データ容量の大きいファイルをメールに添付した場合、すぐに送信することができません。また、他の人とのファイル共有や自分用のバックアップなどの目的で、クラウドサービス上にファイルをアップロードする際にも時間がかかります。

YouTubeなどに動画をアップロードする機会が多い人にとっても都合が良くありません。
動画に限らず、ビジネスで大容量のデータを頻繁にやりとりする場合、アップロード速度の遅さは業務効率を低下させる原因です。

Web会議やネットワークを通じた監視カメラのシステムなど、リアルタイムに映像をやりとりする場合にも問題が発生します。アップロード速度が遅いと画質が低下したり、映像にタイムラグが発生したりするため不便です。

アップロードが進まない! 上り回線が遅い原因

アップロードの速度が遅い原因としては、以下のようなことが考えられます。

契約している通信回線の上り回線速度が遅い

契約している回線がADSLの場合、光回線と違って最初から上りと下りでは大きな速度差があります。ADSLにおける下りの最大速度は50Mbpsなのに対し、上りの最大速度は5Mbpsです。これはADSLの仕様です。しかも実際の速度はもっと遅くなります。

他に、CATV(ケーブルテレビ)のインターネット回線の中にも上りが遅いものがあります。モバイルルータも同様です。

プロバイダが帯域制限をしている

プロバイダによっては1日あたりの上りの通信総量が規定している値を超えると、そのユーザが使用している回線に対して帯域制限(速度制限)を実施することがあります。これは大量のデータ通信が行われることで通信回線が混雑し、他のユーザに影響を与えないようにする措置です。この場合、上り回線速度にも制限がかけられます。

配線に問題がある

有線でインターネットを利用している場合に意外に多いのが、LANケーブルなどの配線に問題が生じているケースです。

まず、光コンセントに光ファイバーケーブルがしっかりと差し込まれていないと、本来の速度が出なくなります。またLANケーブルが部分的に断線している場合も、よく上りまたは下りだけが遅くなります。非常に長いLANケーブルを使っている場合も、速度に影響が出ることがあります。

各種機器の不具合やスペック不足

パソコン、スマホ、Wi-Fiルータなどの各種機器の不調によってアップロードの速度が落ちているケースも考えられます。古い機種の場合はそもそもスペック不足で速度が出ないのかもしれません。LANケーブルの接続口や内部の回路が経年劣化している可能性もあります。

アップロードを速く快適にするための対策

利用している通信回線の本来のアップロード速度がどれくらいの速さなのかを、まず把握しておきましょう。速度がより速い種類の通信回線に変更することで、快適にアップロードできるようになる可能性があります。現状のアップロード速度を確認した上で、必要に応じて契約内容を見直すことがおすすめです。

端末とルータを無線接続している場合、LANケーブルなどを用いた有線接続に変更することも、アップロード速度を上げる対策のひとつです。ただし、LANケーブルはカテゴリと呼ばれる種類によって通信速度が異なります。快適にアップロードしたい場合、CAT6以上のLANケーブルを選びましょう。

プロバイダの帯域制限については、大量のファイルのアップロードなどを行っていないかなど、自身のインターネットの使い方を振り返ってみてください。プロバイダのサイトやサポートで帯域制限について調べてみるのも良いでしょう。サポートに問い合わせればより詳しく確認できるはずです。

配線についてはケーブルの接続具合をよく確認したり、ケーブルを取り替えてみたりすると状況が改善されることがあります。また、ルータなどの機器の不具合は、一度電源を落としてから再起動するだけで解消されることがよくあるので試してみましょう。

アップロードの遅さが気になる、速くしたい場合は上記を参考に原因を探し、対策してください。