ネットワークセキュリティとは? 企業に必要な対策

この記事では、ネットワークセキュリティが重要な理由やネットワークの形態、セキュリティリスクなどについて説明します。
企業がネットワークセキュリティに取り組む上で押さえておきたい、ファイアウォールやアクセス権限の管理といった具体的な対策も解説しますので、企業に必要なネットワークセキュリティ対策について関心のある方は参考にしてください。

ネットワークセキュリティとは

ネットワークセキュリティとは、基盤となるネットワークを、ハッキングやサイバー攻撃などの脅威から保護するための仕組みや考え方です。

ネットワークセキュリティの基本的な考え方は、許可されたユーザーはネットワーク上のデータへアクセスすることができ、許可のないユーザーのアクセスを禁止することによって、データの悪用や脅威を阻止するというものです。

ネットワークセキュリティには、デバイス、アプリケーション、ユーザー、およびアプリケーションが安全に動作するための構成、といったさまざまな要素が含まれており、ソフトウェアとハードウェアの両方の技術を駆使して安全なネットワークを構築することが求められます。

ネットワークセキュリティが重要な理由

ネットワークセキュリティが重要視される背景には、高度化・巧妙化しながら増加の一途を辿るサイバー攻撃の存在があります。

近年のインターネットは、5Gの普及やクラウドサービスの発達などにより、あらゆるデータがネットワーク上に集約されているため、脆弱性が拡大しておりサイバー攻撃を受けた際のダメージも非常に大きなものになっています。そのため、特に膨大な情報財産を保有する企業において、ネットワークセキュリティが重要視されているのです。

ネットワークセキュリティの重要性が高まる中で注目されているのが、ゼロトラストセキュリティという考え方です。

従来の、社内の誰もが等しく情報にアクセスできるという構成のネットワークではリスクが高いため、ゼロトラストセキュリティでは、ユーザーを信頼せず業務など役割に応じて必要な権限だけを付与することにより、安全なネットワークを構築します。
ゼロトラストセキュリティに関しては下記記事にて詳しく紹介しています。
ゼロトラストセキュリティの考え方・仕組み・導入方法など

ネットワークの形態とセキュリティリスク

ネットワークの形態には、オープンネットワークとクローズドネットワークの2つがあります。

オープンネットワークは、一般の人が誰でもアクセスできる状態のネットワークです。それに対しクローズドネットワークは、許可された機器やユーザーだけがアクセスできる状態のネットワークで、一般的にアクセス権の制限や暗号化などによって保護されています。

クローズドネットワークはオープンネットワークに比べるとセキュリティの高いネットワークと言えますが、アカウント情報の漏出やパスワードリスト攻撃による不正アクセスがあった場合、その限りではありません。

メールやWebサイトの閲覧によって、クローズドネットワークに参加するユーザーがマルウェアに感染する可能性もあります。さらに、企業に所属する人間の内部不正によって情報が持ち出される可能性もゼロではありません。

企業が押さえておきたいネットワークセキュリティ対策

企業が押さえておきたいネットワークセキュリティ対策について、それぞれ解説します。

ファイアウォール

ファイアウォールは、インターネットに接続するすべてのパソコンをつなぐ外部ネットワークと、企業などの内部ネットワークの間で機能し、外部からの不正アクセスを防ぐ仕組みです。

アクセス権限の管理

不正アクセスや内部不正などのリスクを軽減するためには、たとえ保護されたクローズドネットワークだったとしても、各ユーザーが必要最小限のアクセス権限を持つようコントロールする必要があります。

IPS/IDS

IPS(不正侵入防御システム)は、ネットワーク上のトラフィックを解析して、サイバー攻撃をブロックするシステムです。IDS(不正侵入検知システム)は、不正アクセスと思わしき異常を検知して、管理者へ通知します。IPSが通信のブロックまで行うのに対し、IDSは基本的には通知のみ行う点に違いがあります。(近年ではブロックを行うことのできるIDSもあります。)

UTM

UTM(統合型脅威管理)は、複数のネットワークセキュリティ対策機能をひとまとめにしたシステムで、機能を集約することによって管理者の負担を軽減できる点がメリットです。

VPN

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、ネット回線上に特定の人だけがアクセスできる仮想的な専用線を引き、通信の安全性を高める方法です。リモートワークなどに導入されることが多く、IPsecまたはSSLなどのプロトコルによって暗号化されています。
VPNの仕組みをわかりやすく解説」でさらに詳しく紹介しています。

多要素認証

多要素認証(MFA)は、クラウドサービスやアプリケーションなどのログイン時に、2つ以上の要素を組み合わせて認証する方式です。例えば認証方法として多く用いられるIDとパスワードの他に、ワンタイムパスワードや指紋や顔などの生体認証も組み合わせて、認証の条件を複雑化させるのです。

OSやアプリケーションの一元管理

OSのアップデートやアプリケーションをインストール/アンインストールする権限も、ゼロトラストセキュリティの考え方に則れば、従業員に持たせない方が安全です。

USBポートの利用制限

情報漏えいやウイルス感染を予防するためには、USBポートの利用も制限する必要があります。ウイルスに感染したUSBデバイスをUSBポートに差し込むと、悪意のあるプログラムが自動的に起動する可能性があります。

従業員への情報セキュリティ教育

情報セキュリティへの理解が欠如していると、意図せず情報漏えいのきっかけを作ってしまうことがあります。そのため、従業員への情報セキュリティ教育の実施も重要なネットワークセキュリティ対策の1つです。

ネットワークセキュリティの概要と、企業が押さえておきたいネットワークセキュリティ対策について解説しました。

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