コネクテッドカーとは? 期待される効果やメリット・デメリットなど

インターネットと常時接続することで、渋滞緩和や事故被害の低減など、さまざまな効果をもたらすことが期待されるコネクテッドカー。

今回は、そんなコネクテッドカーに期待される具体的な効果や仕組み、メリット、デメリットを解説します。今後のコネクテッドカーの展望にも触れますので、興味のある方はぜひご覧ください。

コネクテッドカーとは

「コネクテッドカー」とは、インターネットや専用の通信ネットワークと接続され、外部とデータ通信を行う自動車のことを指します。文字通り、「接続された車(Connected Car)」という意味です。

コネクテッドカーは、車載システムと外部のサービスやデバイスが通信することで、これまでとは違った新しい乗車体験を実現します。

例えば、リアルタイムでの交通情報の提供、遠隔での車の操作(例:ドアのロックやエアコンの制御)、故障や事故の際の緊急連絡サービス、エンターテインメントの提供などといった応用が考えられます。

コネクテッドカーに期待される効果

コネクテッドカーには多くの期待が寄せられており、その中でも特に顕著な効果として、渋滞緩和と事故被害の低減が挙げられます。

コネクテッドカーがリアルタイムで交通情報を収集・共有することにより、渋滞や交通障害の情報が即座に運転者や他の車両に伝えられ、効率的なルート選択や運転調整が可能になります。これによって、都市部の交通渋滞が緩和され、流れのスムーズな交通が実現されることが期待されているのです。

さらに、車と車、または車とインフラが連携して情報を交換することで、危険な状況や事故の発生を事前に予知・回避する機能も考えられています。この機能により、交通事故の発生頻度の低減や、万が一の事故時でも被害の軽減が期待されます。

コネクテッドカーの仕組み

コネクテッドカーは、車両自体の状態や運転環境を把握するために、さまざまなセンサーを備えています。エンジンの動作状態、タイヤの圧力、ブレーキの状態、燃料の残量などの車両の状態を監視するセンサーや、車両の周囲の物体や障害物、他の車両の位置、道路の状況などを検知するためのレーダーやカメラがこれに当たります。

センサーやカメラから得られた情報は、車両に搭載されたコンピュータ上で処理され、必要に応じて適切な動作や警告を運転者に通知します。

さらに、得られたデータはクラウドサーバーに送信され、そこで集積・分析を行います。分析結果は、他の車両やインフラ、そして運転者にフィードバックされ、より安全で効率的な運転のサポートや、新しいサービスの提供が可能となります。

コネクテッドカーのメリット

コネクテッドカーのメリットは次の通りです。

最新の道路状態を取得して最適なルートが提案される

コネクテッドカーは、GPSによって得られる位置情報や、リアルタイムの交通情報を収集し、これらを元に最適なルートを提案します。

例えば、突発的な交通渋滞や道路工事、事故などの情報を速やかに受け取り、これを考慮して運転者に迂回ルートを提案することも可能です。

事故発生時の自動対応

事故など緊急事態の発生時に、自動対応できる点もコネクテッドカーのメリットです。

車両のセンサーが異常な衝撃や動きを検知すると、自動的に位置情報とともに緊急サービスへ連絡する仕組みが、多くのコネクテッドカーに搭載されています。この機能により、迅速な救助や対応が期待でき、重大な事故を防ぐ可能性が高まります。

盗難車両の追跡

万が一、車両が盗難された際には、コネクテッドカーの通信機能を利用して、その位置をリアルタイムで追跡することが可能です。

車両内部のGPSや通信機能を活用して、車両の現在位置を確認し、警察や関連機関と連携して盗難車両の捜索・回収をサポートします。盗難から車両を守るだけでなく、万が一の際の迅速な対応も可能になります。

コネクテッドカーのデメリット

一方、コネクテッドカーにもデメリットがあります。デメリットは大きく以下の2点です。

サイバーセキュリティの懸念

コネクテッドカーは多数のセンサーや通信機能を持っており、これらが外部のネットワークと絶えず接続しています。そのため、不正なアクセスやハッキングのリスクがあります。

車両のシステムがサイバー攻撃を受けた場合、車両の制御が乗っ取られるといった深刻な事態も考えられます。セキュリティ対策の不備や脆弱性が存在すれば、運転の安全性に大きな影響を及ぼす恐れもあるでしょう。

プライバシーに関するリスク

コネクテッドカーは運転者の行動や位置、車両の利用状況などの情報をリアルタイムで収集・送信します。収集した情報が適切に保護されない場合、第三者による不正な取得や利用が懸念されます。

例えば、運転者の移動履歴が詳細に追跡されることで、プライバシーの侵害や個人情報の漏洩が生じる可能性もあるでしょう。また、情報がクラウド上や外部のサーバに保存される場合、そのデータ保管や取扱いに関する透明性や信頼性も求められます。

コネクテッドカーの展望

コネクテッドカー技術の進化と展開により、今後の交通環境における安全性の向上が大いに期待されています。

コネクテッドカーが持つセンサーや通信機能は、車両同士や車両・インフラ間における情報のリアルタイム共有を可能にします。これにより、事故の予知や早期警告が実現し、運転者が事前に危険を回避できるようになります。

また、車両が定期的に自身の状態を監視し、異常や故障が検知された場合、運転者や関連するサービス提供者に自動的に通知することで、事故のリスクをさらに低減させる効果も期待されます。

最後に、コネクテッドカーの技術が組み合わさることで、完全自動運転が実現する日も近いとされています。自動運転技術の実現にはコネクテッドカー技術が不可欠であり、実現すれば人の手による運転ミスに起因する事故を大幅に減少させられるでしょう。

これらの展望を踏まえると、コネクテッドカー技術は今後の交通安全の向上において、重要な役割を果たすことが予想されます。

コネクテッドカーは、インターネットや専用の通信ネットワークと接続することで外部とデータ通信が行える先進的な車両です。この技術の進展により、リアルタイムでの交通情報の提供、事前の事故予知や早期警告、車両の状態監視など、多岐にわたる革新的な機能が期待されています。

一方で、セキュリティやプライバシーの懸念もあり、これらの問題への対応が今後の課題となります。コネクテッドカーの技術や動向は今後の交通環境や利便性の向上に大きく貢献することが予想されます。今後もコネクテッドカーの動向に注目していきましょう。