Wi-Fi 6Eとは? 仕組みやメリット・デメリットなど

無線通信規格のWi-Fiにはいくつか種類が存在します。そのなかでも、近年普及が進んでいる規格が「Wi-Fi 6E」です。Wi-Fi 6Eは従来の規格と何が異なるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Wi-Fi 6Eの特徴やメリット・デメリットなどについて解説します。

Wi-Fi 6Eとは?

Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi Allianceが策定する規格の一つです。Wi-Fi 6を拡張した規格であり、通信速度が向上して、より快適な無線通信を実現しました。Wi-Fi 6E対応機器も増えてきており、さまざまな機器で高速な無線通信を行えるようになってきています。

Wi-Fi 6との違い

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eは厳密には異なります。具体的な特徴に関しては後ほど解説しますが、新しく追加された周波数帯が利用できるようになりました。その影響で、Wi-Fi 6よりも高速な無線通信を実現しています。

もっと詳しくWi-Fi 6や、それ以前の規格との比較などについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→「Wi-Fi 6とは?その特徴とWi-Fi 5との違い、メリットなど

Wi-Fi 6Eの主な特徴

Wi-Fi 6Eの特徴を3つに分けて解説します。

6GHz帯の利用

Wi-Fi 6Eの大きな特徴の一つが、6GHz帯の周波数が利用できるようになったことです。2022年9月に法律が改正され、Wi-Fiで6GHz帯が利用できるようになりました。従来のWi-Fiでは、2.4GHz帯と5GHz帯の2つを利用していました。Wi-Fi 6Eではそれらに5.925GHz~7.125GHzの帯域が利用できる6GHz帯も加わり、高速かつ安定した通信を実現しています。

通信速度の向上

Wi-Fi 6と6Eは、理論値上の通信速度は9.6Gbpsと同じです。しかし、6GHz帯を利用できるWi-Fi 6Eは、より理論値に近い通信速度を実現できるようになっています。従来利用されてきた2.4GHz帯や5GHz帯は、他の機器がWi-Fiとは異なる無線通信で利用しており干渉する可能性や、障害物があると電波が弱まりやすいなどのデメリットがありました。

イメージとしては、6GHz帯の追加は目的地までの高速道路が追加されたようなものです。新たに利用できるようになった周波数帯であるため、干渉を受けにくく通信速度の向上に貢献しています。

通信チャネルの増加

各周波数帯では同時使用可能なチャネル数が異なります。

  • 2.4GHz:3チャネル
  • 5GHz:20チャネル
  • 6GHz:24チャネル

使用可能なチャネル数が増えるということは、より多くの機器で電波干渉することなく同時に使用できるということです。従来の23チャネル(2.4GHz帯+5GHz帯)に加え、24チャネルが追加されたことで、通信チャネルは約2倍に増えました。

Wi-Fi 6Eのメリット

主な特徴の部分でも軽く触れていますが、Wi-Fi 6Eのメリットについてまとめて解説します。Wi-Fi 6Eの大きなメリット3つについて、一つずつ見ていきましょう。

混雑の回避と速度の安定化

6GHz帯が追加されたことで、Wi-Fi専用の高速道路が追加された、と考えることができます。5GHz帯も混雑が少ない周波数帯ですが、気象レーダーや航空レーダーなどのレーダー波が利用されているため、Wi-Fiルータがこれらを検知すると一定時間停止する仕組みがあります。これはDFS(Dynamic Frequency Selection)と呼ばれるものですが、6GHz帯ではこの仕組みがありません。そのため、混雑を回避しながら安定して通信を実現できます。

高速通信の実現

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6よりも高速な通信を実現できます。これはWi-Fi 6Eの接続では前述のとおり新たに追加された6GHz帯を利用できるからです。インターネットコンテンツも動画が主体となった昨今、より高速な通信を実現できる点は、大きなメリットの一つといえるでしょう。

将来性と拡張性

2024年に入り、次世代のWi-Fi規格として「Wi-Fi 7」が発表されました。さらに高速で安定した通信を実現する規格ですが、一般に普及するまでにはもう少し時間がかかると予想されます。Wi-Fi 6Eは対応製品も多く販売されており、現時点では無線通信の最高速度を実現できる規格です。

最新のWi-Fi 7について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
→「Wi-Fi 7とは? Wi-Fi 6との違いや利用可能になる時期など

Wi-Fi 6Eのデメリットや課題

Wi-Fi 6Eはさまざまなメリットをもたらしますが、同時に覚えておくべきデメリットや課題も存在します。

対応機器の限定性

Wi-Fi 6Eの通信を実現するためには、ルータやスマートフォン・PCなどのデバイスが対応している必要があります。Wi-Fi 6E以前の規格に比べて、まだまだ対応機器が限定されている点はデメリットといえるでしょう。

高価格帯

Wi-Fi 6Eに対応した機器は、Wi-Fi 6に対応した機器と比べても高価格です。例えば、それぞれに対応したWi-Fiルータの価格は、Wi-Fi 6対応のものなら5,000円以下で購入できる場合もあります。一方、Wi-Fi 6E対応のものは2万円弱と、価格差が大きくなっています。

利用可能な地域の制限

日本では2022年9月から6GHz帯が利用できるようになり、Wi-Fi 6Eが利用できるようになりました。しかし、Wi-Fiの無線通信速度がどれだけ早くとも、契約回線の通信速度が遅い場合にはその効果を体感できません。地域によっては最大通信速度10Gbpsの光回線も存在しますが、日本の一般的な光回線は1Gbps程度です。そのため、インターネット接続におけるWi-Fi 6Eの最大通信速度を体感できるかどうかは、地域の契約可能な回線の通信速度に依存します。

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6を拡張した規格で、より高速かつ安定した通信を実現します。最大の特徴は6GHz帯の周波数帯を利用できるようになったことであり、これにより高速通信と混雑の回避による安定化を実現しました。

さまざまなメリットの一方で、対応機器が限定されている点や、対応機器が高価である点などのデメリットも存在します。導入を検討する際には、メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、検討するようにしましょう。