フルMVNOとは? MVNOとの違いやメリットなど

この記事では、フルMVNOについて解説します。フルMVNOは従来のMVNOと異なり、自社でSIMカードやeSIMを提供することができ、ホストMNO以外のMNOとも事業者間接続ができることから、より高度なサービス提供が可能になる事業形態です。

フルMVNOと従来のMVNOの違いや、メリット・デメリットを詳しく知りたい方はご覧ください。

フルMVNOとは

フルMVNOとは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)の一種で、自社でコアネットワークの一部を保有して運用することにより、SIMカードやeSIMを提供できる事業者です。

通常、MVNOはMNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)のネットワークを利用してサービスを提供しますが、フルMVNOは自社の通信基盤を持つため、独自の通信ネットワークを構築することができます。

フルMVNOは設備投資や管理のコストが高くなるため、事業者の負担も大きくなります。また、サービス提供に必要な技術力やネットワークインフラの充実にも時間がかかるため、フルMVNO事業者は日本ではまだ少ない状況で、現在は主に大手キャリア以外の企業が参入しています。

しかし、フルMVNOの登場により、より多様な通信サービスが提供されるようになり、消費者にとって選択肢が増えることが期待されています。

フルMVNOと従来のMVNOの違い

フルMVNOに対し、従来のMVNOはライトMVNOとも呼ばれます。ここでは、フルMVNOとライトMVNOの違いについて解説するとともに、MVNEやMNOといったMVNO関連事業者の特徴などを紹介します。

フルMVNOがコアネットワークの一部を保有してサービスを提供するのに対し、ライトMVNOはMNOのネットワークインフラを借りてサービスを提供する事業者です。

SIMカードの設計やデザイン、品質管理をMNOが行うため、フルMVNOと比べて提供できるサービスの自由度は低いものの、そのぶん管理コストがかからず参入のハードルも低い点が特徴と言えます。

MVNE(Mobile Virtual Network Enabler:仮想移動体サービス提供者)は、ライトMVNO向けにネットワークインフラやサービスの提供を行うサポート企業で、MNOとライトMVNOの双方との間で通信を取り持ち、ライトMVNOが自社のサービスを提供できるようにします。

ライトMVNOはフルMVNOに比べ参入のハードルが低いとはいえ、新規にMNOと接続するための設備やシステムを構築するのは相応のコストがかかります。そこでMVNEは、接続実績のあるシステムを小分けにして提供することで、より小規模なMVNOの参入をサポートしています。我々フリービットの位置づけはMVNEです。

MNOは、自社で無線通信設備やコアネットワークを保有しサービスを提供する、いわゆる大手キャリアを指します。国内の主なMNOは、NTTドコモ、KDDI、SoftBank、楽天です。MNOは総務省から700M~28GHzの周波数帯を割り当てられており、これらの回線網を自社の基地局を介してユーザーやMVNE、MVNOに提供します。

フルMVNOのメリット

フルMVNOのメリットとして、まず、自社でSIMカードやeSIMを提供することができる点が挙げられます。これは、従来のMVNOではできなかったことです。自社でSIMカードを発行することで、より自由な価格設定やプランの提供が可能になります。

また、フルMVNOはひとつのホストMNO以外のMNOとも事業者間接続ができることが特徴です。そうすることで、より高品質な通信を提供することができます。

例えば、ホストMNOと契約する従来のMVNOは、ホストMNOが提供する通信回線のみを使用するため、コアネットワークの状態によっては通信速度が遅くなったり、接続が滞ったりすることがあります。しかしフルMVNOでは、複数のMNOと接続できるため、より高速な回線を選択して提供するといった柔軟なサービス提供も可能です。

フルMVNOのデメリット

フルMVNOには多くのメリットがありますが、設備投資や管理コストが高くなるというデメリットもあります。

フルMVNOは、自社のコアネットワークを持つ必要があるため、設備投資にコストをかけてインフラを整備しなければなりません。また、自社でネットワークを構築することにより、ネットワークエンジニアなどの技術者が保守・運用を行う必要があり、従来のライトMVNOに比べ管理コストもかかります。

これらの課題を克服するには、投資やコストに見合ったユーザー数が見込めるよう、フルMVNOの事業計画をしっかりと立て、効率的な運営が必要となります。また、競合他社との差別化や、自社独自のサービスの提供などが必要となるでしょう。

フルMVNOの概要やメリット・デメリットについて解説しました。フルMVNOは、従来のMVNOと比べてより高いサービス品質を提供することができる反面、設備投資や管理コストが高いというデメリットもある事業形態です。

しかし、自社でSIMカードやeSIMを提供でき、ホストMNO以外のMNOとも事業者間接続が可能なため、サービス提供の自由度が高く、顧客ニーズに合わせたサービスの開発も容易です。日本ではまだ数が少ないですが、これから増えていくことが予想されます。