見守りシステムで高齢者施設の課題は解決できる?

高齢者施設では、高齢者の徘徊や施設からの無断外出、健康面の変化など、さまざまなトラブルをいち早く察知することが求められます。しかし、人員にも限界があるため、隅々まで目を行き届かせることが難しい場合もあるでしょう。
そこで近年ではAIを活用した見守りシステムが普及し始めています。ここでは、高齢者施設の見守りシステムの機能などについて詳しく解説します。

見守りシステムとは

見守りシステムとは、主にAIの画像認識や物体検知の機能などを用いて、高齢者の様子に異変が起きた際に素早く察知するシステムです。また、高齢者施設だけではなく、離れて暮らす高齢の両親の様子を見るために導入する場合もあります。

高齢者は健康リスクが高く、認知症によって徘徊したり無断外出したりする場合があるため、施設スタッフや家族に負担がかかるケースが少なくありません。見守りシステムを導入することで、見守りが不要になったり、負担を軽減できたりする可能性があります。

高齢者施設の見守りシステムの主な機能

見守りシステムにはさまざまな種類があるため、用途に合わせて選ぶことが大切です。高齢者施設の見守りシステムには次のような種類があります。

ナースコール

ナースコールは、ボタンを押すだけでナースステーションと通話ができるシステムです。ナースコールの頻度、回数、時間帯などを記録することで、対象者の行動パターンを分析できます。

離床確認

対象者がベッドから起きて上がったことや、床に足を置いたこと、そこから歩きだしてベッドを離れたことなどを検知して、管理者へ知らせます。重量や熱に反応するセンサーをマットレスの下やベッドの周囲に設置するものが主流です。センサーは目につきにくい設置場所やサイズなので、入居者がストレスを受けにくいでしょう。

カメラによる監視

カメラで対象者を監視する方法もあります。ただし、スタッフが常に画面を確認していることは難しいため、トラブルが起きた際の様子や原因を探るために使用することが基本です。AIの画像認識を搭載したシステムであれば、対象者の顔を認識して自動ドアの解錠を許可・拒否することで無断外出を防止できます。

容態変化の確認

ベッドにセンサーを設置して、心拍や呼吸、動きなどを検出します。対象者のバイタルサインに異常が起きた際にアラートを出し、トラブルの早期発見に努めます。容態変化を早く察知できれば、それだけ早く医療的な処置を行えて生存率が高まる可能性があるでしょう。

高齢者施設の課題は見守りシステムで解決できる?

見守りシステムを導入すれば、本当に高齢者施設の課題を解決できるのか、不安や疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。そこで、高齢者施設の課題を見守りシステムで解決できるのかどうかについて、よくあるトラブルを例に挙げて解説します。

見回りの頻度を減らせる可能性がある

高齢者施設では、ベッドからの転落や徘徊、転倒などさまざまな危険があるため、頻繁に見回る必要があります。その結果、他の業務を圧迫し、労働時間が長くなったり心身への負担を大きくなったりするでしょう。

見守りシステムを導入すれば、さまざまな危険を機械が察知することでスタッフの負担を抑えてトラブルの防止や早期発見を実現できます。例えば、離床確認のシステムを利用すれば、ベッドから落ちたことをいち早く発見できるため、大きなトラブルへの発展を防げる可能性があります。

また、カメラの画像認識機能で認証できた場合にのみ自動ドアを解錠する仕組みを導入すれば、無断外出を常時警戒する必要がなくなります。

入居者同士のトラブルや虐待の防止に繋がる

入居者同士のトラブルが起きそうな場合、両者を引き離したり仲裁したりする必要があります。カメラによってトラブルが起きそうな状況を早期発見すれば、トラブル防止に繋がるでしょう。また、カメラを設置することを周知すれば、入居者としてもトラブルを起こしづらくなります。

さらに、しばしば問題になるスタッフ・入居者間の虐待防止にも繋がります。互いに見られているということを意識することで、両者の心身の不安を軽減し、介護の質を高められる可能性もあるでしょう。

トラブルの防止や早期発見は重要ですが、多大な人的コストがかかるため、十分に取り組めていない施設が少なくありません。見守りシステムを導入すれば、コストとスタッフの負担を抑えつつトラブル対策ができます。

見守りシステムは高齢者施設の課題解決に繋がることが十分に期待できるといえます。見守りシステムを導入することで、ベッドからの転落、徘徊、無断外出、入居者同士のトラブルなどに早期に対処できます。スタッフが不足しているためにトラブル対策が不十分だと、トラブルが頻繁に起きることで入居者・スタッフともに心身の負担が増加してしまうこともあります。
AIの進歩によって見守りシステムは高度化しているため、積極的に導入を検討したいシステムといえるでしょう。

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