学校に監視カメラは必要? 設置するメリット・デメリットなど

監視カメラはさまざまな場所で活用されていますが、近年では学校でも導入が進んでいます。学校に監視カメラを設置することには多くのメリットが存在しますが、同時に気をつけるべきデメリットもあるため注意が必要です。

この記事では、学校に監視カメラの設置が求められる背景や、設置するメリット・デメリットなどについて解説します。

学校に監視カメラ設置が求められる背景

文部科学省「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査〔令和3年度実績〕」によれば、学校における監視カメラの設置率は64.3%と報告されています。これは国公私立の幼稚園から高等学校までの学校を対象としたものです。この結果から分かるとおり、監視カメラの設置が必要とされていることがわかりますが、その背景には次のような点が考えられます。

社会的な防犯意識の向上

学校は子どもたちが通う場所であり、社会全体で子どもたちを守るためにも学校の防犯意識を向上させることが重要視されています。
近年、防犯を目的とした監視カメラは企業や店舗だけでなく、家庭での設置も増えるなど普及しています。学校においても、リスクマネジメントの手段として、監視カメラによる録画が必要という意識が広がってきています。

学校でのセキュリティカメラの必要性

学校にはさまざまなリスクが想定され、そのようなリスクから生徒を守るためにリスクマネジメントが欠かせません。監視・防犯カメラといったセキュリティカメラを導入することで、不審者が学校に侵入することを監視したり、事故が発生した際の証拠を記録したりすることが可能です。犯罪の抑止や緊急時の対応、いじめ抑止などの学校内外考えられるさまざまなトラブルへの対策として、セキュリティカメラの導入は欠かせないものとなりつつあります。

学校に監視カメラを設置するメリット

学校の屋内・屋外に監視カメラを導入するメリットとしては、大きく次の3点が挙げられます。

犯罪の抑止と解決

学校内に監視カメラを設置することが、不審者の侵入を防ぐことにつながります。監視カメラが設置されていることを示すだけでも、罪を犯そうとする者の心理に大きく作用し、防犯の効果がえられるでしょう。また、事故などが発生した場合にも記録が残されているため、早期解決に役立ちます。

緊急時の対応の改善

監視カメラによって記録を残しておくことで、緊急時の対応改善にも役立てられます。学校内では生徒同士の事故など、想定外の事故が発生する可能性が考えられます。その際に、記録が残っていれば今後の対応改善に役立てることができるでしょう。また、常時監視するシステムが構築できれば、緊急時に即座に対応することも可能です。

いじめの減少への期待

学校内は閉じられた環境になりやすく、いじめ問題は大きな課題の一つです。「見られている」という意識があるだけでも、いじめが発生しづらい環境を構築できます。生徒の安全だけでなく、安心を守るための手段としても監視カメラは活用できます。

監視カメラのデメリットと懸念事項

監視カメラの導入の際には、デメリットや懸念事項についても考慮しておくことが重要です。ここでは、特に注意したい3つのデメリット・懸念事項について解説します。

プライバシーへの影響

基本的に監視カメラは常時起動し続けています。生徒によっては、教室でも常にカメラに撮られ続けているといった状況ではストレスを感じてしまうことも考えられるでしょう。監視カメラを導入する際には、保護者の同意だけでなく、生徒にもしっかりと説明したうえで同意してもらうことが重要です。

コストと経済的負担

学校内は広いため、複数の監視カメラを導入することになります。加えて、監視カメラで取得したデータを運用するためのシステムも必要になるでしょう。これらの導入にはコストが掛かり、決して安いとはいえません。学校側の経済的負担が大きくなる点は、デメリットの一つとして挙げられます。

監視社会への懸念

監視カメラを適切に運用しなければ、個人のプライバシーを侵害することにつながります。もっと大きな視点でみれば、監視社会の形成が懸念されます。監視社会の問題点は、プライバシーの侵害と監視の悪用です。学校内は小さな社会のようなものであり、監視社会が形成されないよう十分に考慮しなければなりません。

学校への監視カメラ設置における考慮事項

学校へ監視カメラを設置する際には、特に次の3つの点を検討するとよいでしょう。

カメラの設置場所と優先順位

カメラをどこに設置するのか、また設置の優先順位をどうするのか、といった点は、導入前に必ず検討すべき項目です。カメラの導入にはコストが掛かるため、学校内のリスクマネジメントを効率的に行うために、優先順位を決めながら導入を進めましょう。

映像の保存期間とストレージの選択

記録する映像はどの程度保存するのか、といった点も重要です。データを保存するためにはストレージが必要になりますが、保存期間が長くなるほどストレージ容量も多く必要になります。また、監視カメラによって利用可能なストレージは異なるため、ストレージを学校内に設置するのか、クラウドサービスを利用するのか、なども検討する必要があります。

保護者のアクセス権

監視カメラや記録した映像に対するアクセス権の取り扱いにも注意が必要です。個人のプライバシー侵害も考慮しつつ、原則として映像を確認できる人物は限定する必要があります。監視カメラの設置場所などによっては、保護者の閲覧を可能とすることも考えられます。保護者の閲覧も含め、監視カメラに関わるアクセス権も十分に検討することが重要です。

監視カメラは半数以上の学校で設置されており、学校におけるリスクマネジメントのために欠かせないものとなってきています。監視カメラを導入することで、犯罪の抑止や緊急時の対応、いじめ減少などのメリットの反面、プライバシーへの影響や経済的負担、監視社会への懸念といったデメリットも存在します。

これらのメリット・デメリットと併せて、設置する際の考慮事項も検討しながら監視カメラの導入を勧めてみてはいかがでしょうか。