防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置はプライバシーの問題になる?

職場の安全な環境づくりや社員の不正防止などを目的に、社内に防犯カメラ(監視カメラ)を設置するケースが増えています。その際、気をつけなくては行けないのが、社員のプライバシーへの配慮。設置場所や運用の仕方を適正に行わなければ、そこで働く社員にとって大きなストレスとなってしまう可能性もあるからです。
そこで今回は、防犯カメラ(監視カメラ)を社内に設置する際の注意点について、詳しく解説していきます。

防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置は問題なし

防犯カメラ(監視カメラ)の設置をする際に、懸念事項として必ず挙がるのが「プライバシー」や「人権」の問題です。これは社内に設置する場合でも同様で、そこで働く社員に対するプライバシーや人権の侵害になるのではないか?と心配される経営者の方も多いのではないでしょうか。

もちろん、職場の更衣室やトイレなどのような場所へ防犯カメラを設置することは、プライバシー保護の観点から見ても避けるべきですが、多数の人が働いている社内への設置は、基本的には法的にも問題なしとされています。なぜなら、会社側には作業が適切に行われているか、不正や防犯面でのリスクがないかを確認・管理する必要性があるからです。

また、勤務中はプライベートな時間には該当しないため、「社内」という多くの人の目がある場所を監視カメラによってモニタリングすることは、プライバシーの侵害には該当しません。

ただし、ここ数年で広く普及するようになったリモートワークでは、自宅が「職場」というケースも少なくありません。その際、会社支給のパソコンに監視ツールをインストールして、社員の働いている様子をモニタリングしようとすると、プライバシーや人権の侵害、またはパワーハラスメントになってしまうこともあるため注意が必要です。いずれにしても、防犯カメラ(監視カメラ)を設置するのであれば、その目的や用途を、全ての社員に対して事前にきちんと説明しておくことが大切でしょう。

防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置における注意点

前述した通り、防犯カメラ(監視カメラ)を社内に設置することは、法的にも問題となることではありません。ただし、防犯カメラ(監視カメラ)によって社員の働きぶりを常時モニタリングするのであれば、トラブルや社員のストレスを防ぐためにも、さまざまな点に注意が必要です。

映像の管理

防犯カメラ(監視カメラ)で社内の様子を撮影してモニタリングすることは合法とされていますが、撮影した映像については適切に管理しなければなりません。特に、社内全体を撮影した広角画ではなく、社員が特定できるような映像については「個人情報」になるため、その取扱には細心の注意が必要でしょう。例えば、撮影した映像を社員に無断で本来の用途とは異なる目的で使用した場合、「個人情報保護法」に抵触する可能性もあるのです。

責任者の配置

防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置を行う場合には、モニタリングの実施に関する責任者を配置することが、経済産業省のガイドラインによって定められています。撮影した映像を扱うことができる権限を持った人を明確にして、あらかじめ社員に周知しておきましょう。

社内規定を作る

防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置を始めるにあたって、事前に社内規定をつくることも経済産業省のガイドラインによって決められています。防犯カメラ(監視カメラ)を設置する目的を明確にすること、責任者と権限の範囲、設置場所、モニタリング時間、モニタリングが適切に行われているかどうかの監査役は誰かなど、細かな部分まで規定として作成し、社員全員に周知しましょう。

社内でおすすめの防犯カメラ(監視カメラ)設置場所

防犯カメラ(監視カメラ)を設置する主な目的は「内部不正の抑止」、「外部犯罪の監視」、「業務フローの確認・改善」です。実際にカメラを設置する場合には、その点を踏まえた上で場所を決めていきましょう。具体的には、以下の場所に設置をするのが効果的です。

正面玄関・受付

社員だけでなく社外からの訪問者も必ず通る場所です。人の出入りが多い会社の場合には、設置した方が安心でしょう。

執務室

実際に社員が働いているスペースです。内部の不正を抑止するためには、部屋の広さに合わせて適切な台数を設置しましょう。

経理部門

社内のさまざまな部署のなかでも、お金を扱う経理部門というのは内部不正が発生しやすいと言われています。不正の抑止効果を高めるためにも、防犯カメラ(監視カメラ)によるモニタリングを行うのが効果的です。

駐車場

防犯対策で最も大切なことが、人の出入りをしっかり確認するということです。駐車場は車上荒らしなどの犯罪リスクもあるため、特にカメラを設置すべき場所だといえるでしょう。

社内に防犯カメラ(監視カメラ)を設置しても基本的にはプライバシーの問題にはなりません。ただし、設置場所や映像の管理、社内規定など明確なルール作りは必要です。防犯カメラ(監視カメラ)を設置する際には、上記の内容を参考に、適切な管理・運用を行いましょう。