MVNOのメリット・デメリットとは? 3大キャリアとの違いも解説

ahamo、povo、LINEMOといった大手キャリアの新プランが発表されたことに伴い、スマホの通信料金をもっと安く抑えたいと考える人が増えています。そんな中、MVNO=「格安SIM」を提供している事業者のサービスはどうなっているのかと気になっている人も多いのではないでしょうか。今、MVNOを利用するメリットとデメリットにはどのようなことがあるのか、3大キャリアとの違いも含めて解説します。

そもそもMVNOとは?

MVNOとは、NTTドコモなどの大手通信キャリアが所有する通信回線などのインフラを借り受けて「格安SIM」などを提供している事業者のことです。「Mobile Virtual Network Operator」の略称で、「仮想移動体通信事業者」と訳されます。

3大キャリアとの違い

MVNOに対し、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信キャリア(3大キャリア、大手携帯電話会社)は「MNO」と呼ばれます。このMNOは「Mobile Network Operator」を略したものです。日本語に訳すと「移動体通信事業者」という意味になります。

MVNOは自社で基地局や全国ネットワークを持たず、MNOの設備を借りて通信サービスを提供しています。回線の一部を借りているという形なので、基地局の増設や全国ネットワークの保守運用のためのコストを全て負担しなくてよいこと、MNOほどの規模で広告宣伝を行ったり販売代理店などの店舗を持たないことから、安く通信サービスを提供することができます。基地局はMNOのものを使いますので通信エリアはMNOと同じです。

MNO=3大キャリアの中では、KDDIはメインブランドである「au」のほかに、サブブランドとして「UQ mobile」を展開しています(2020年10月1日からサブブランド化)。また、ソフトバンクもメインブランド「SoftBank」とは別にサブブランド「Y!mobile」を展開しています。

このUQ mobileとY!mobileは、いずれも自社で基地局を持ち通信回線も保有しているのでMVNOではなくMNOです。

サブブランドを展開していなかったNTTドコモですが、2020年12月に独自プランである「ahamo」が発表されました。これに対抗して、KDDIはauの新プランとして「povo」を、ソフトバンクもSoftbankの新プランとして「LINEMO」を発表しています。このahamo、povo、LINEMOはあくまでMNOの出している、フルサービスでない格安料金プランという位置付けです。

MVNOのメリット

3大キャリアがサブブランドや新プランを展開している中、MVNOを使うことにはどのようなメリットがあるのか気になるところです。MVNOのメリットについて、ポイントを抑えて確認してみましょう。

通信料金が抑えられる

MVNOの最も大きなメリットは通信料金が安いことです。2021年3月現在、ahamo、povo、LINEMOの通信料金は、月間20GBまでのデータ通信量と1回5分以内の電話かけ放題で定価で3,278円となっています。これに対し、MVNO各社は従来よりもさらなる値下げを行っています。安さという点ではMVNOのほうが依然として優位性を保っています。

さまざまなプランがある

ユーザの中にはWi-Fiなどを多く使っていて、月間20GBもデータ通信量が必要ないという人もいます。そんなユーザ向けにはもっと少ないデータ通信量で安いプランを用意するなど、MVNO各社は豊富なプランを用意しています。音声通話が必要ないというユーザ向けのデータ通信のみのプランがあるのもMVNOの特徴です。

また、無料(または格安)通話アプリ、月間通信量を抑えるために低速通信が選択できるアプリ、周辺のWi-Fiスポットを探して接続できるアプリなども用意されています。

契約期間の縛りなどが厳しくない

MVNOの場合、いわゆる2年縛りなどの契約期間の縛りも厳しくありません。そもそも最低契約期間自体が設定されていないというMVNOもあります。

契約期間が設定されている3大キャリアのプランには「更新期間」があります。この期間外に解約する場合には1万円程度の解約金がかかるという契約もあります(今後は解約金1,000円以下など総務省の規制で変わっていきます)。

しかし、最低契約期間が設定されていないMVNOのプランには更新月や更新期間という概念もない事が多く、解約金も設定されていない事が多くあります。

SIMロックなどの制限がない

かつて3大キャリアが販売していた端末には、基本的にSIMロックがかけられていました。SIMロックがかかっていると、ほかのキャリアやMVNOが提供するSIMカードを挿してもスマホを使用できません。現在は、SIMロックは基本的に禁止という流れになっていますが、過去に購入した端末はほかのキャリアでは使えないということが発生する可能性があります。

MVNOにはSIMロックの制限はなく、SIMフリーと言われている世界標準とも言える多くの端末を使う事が出来ます。3大キャリアで購入したスマホは、SIMロックの解除をショップやインターネットで申し込めば、MVNOのSIMを挿して使えるようになります。

MVNOのデメリット

一方、MVNOにはデメリットもあります。まず挙げられるのは3大キャリアと比較すると実店舗が少なく、多くの場合はインターネットを使ってユーザ自身が手続きをし、SIMを挿す作業などをしなくてはならないこと、またキャリアメール(@docomo.ne.jpなど)が使えなくなることです。ただ、これは3大キャリアの新プランであるahamo、povo、LINEMOの場合も同じですし、キャリアメールを使わなくなっているため、デメリットとは言えなくなってきています。

もう一つは、MVNO事業者によっては夕方など時間帯によって通信速度が遅くなることがある点です。これはMVNO事業者の中でも差が出てくる部分です。ユーザによっては気になるという人もいると思いますので、速度比較サイトなどで事前に調べた上で契約することをおすすめします。

MNOのサブブランドや新プランの登場により、MVNOも含めて、スマホの通信料金をもっと安く抑えたいという人にとっての選択肢は増えています。少なくとも、これまでどおり3大キャリアの一般的な料金プランを利用するという人は相対的に減るでしょう。自分にとってどのような通信サービスやプランが最も合っているのか、あらためて考え直してみることをおすすめします。