防犯カメラ(ネットワークカメラ)の設置方法と注意点

ネットワークカメラはここ数年、急激な勢いで普及しています。その主な用途の1つに挙げられるのが防犯・監視カメラです。ネットワークカメラ型の防犯カメラは配線がシンプルで、スマホなどから映像をモニタリングできるといった利点があります。また、最近では顔認証機能を持つ防犯カメラなども活用されています。

防犯カメラを設置できる場所は、エントランスや駐車場、建物の外周などの屋外だけではありません。オフィスや工場、店舗内、倉庫の中などの屋内でも利用可能です。今回はそんな防犯カメラ(ネットワークカメラ)を屋内外に設置し活用する方法について解説します。

設置場所に合わせた防犯カメラを選ぶためのポイント

防犯カメラには、耐久性や機能、配線方法が異なる複数の製品があります。監視したい場所の様子をはっきりとした映像で撮影し、安心・安全な環境を作るためには、設置場所の状況に合わせて防犯カメラを選ぶことが大切です。以下では、防犯カメラを選ぶための4つのチェックポイントについて解説します。

インターネット接続を通じて監視できるネットワークカメラの仕組みや、Webカメラとの違いといった基礎知識については、下記のページを参考にしてください。

ネットワークカメラの仕組みとは? 防犯・監視カメラの基礎知識

防水・防塵性

防犯カメラを駐車場などの屋外や、塵が舞いやすい工場・倉庫などの屋内に設置するのであれば、防水・防塵性を備えていることが絶対条件となります。「IP〇〇」というIP(International ProtectionまたはIngress Protection)コードが表示された製品であれば、どの程度の防水または防塵性能を備えているかがわかるので要チェックです。ネットワークカメラでは「IP66」が防水・防塵ともに最も高性能です。

屋外用としてポピュラーなのは、バレット型と呼ばれる防水防塵タイプの防犯カメラです。また、雨や雪などから防犯カメラを保護するためのハウジングケースを使うのも有効です。

逆光・明暗補正機能

屋内外を問わず、太陽光が入ってくる方向とカメラの方向との関係性を考える必要があります。時間帯によって逆光になるところに設置する場合は「逆光補正機能」がついている防犯カメラがおすすめです。例えば、建物のエントランスが南向きの場合、扉が開閉された時に日差しがカメラにあたり、映像が一時的に真っ白になってしまう可能性があります。逆光補正機能がついていれば、そのような場合でも映像をはっきりと残すことが可能です。

明暗のコントラストが大きい場所では「ワイドダイナミックレンジ機能」を備えたカメラなら明暗差を補正して撮影することができます。物陰になっている場所が多く、明るい場所と暗い場所が両方ある倉庫内などを監視したい場合は、ワイドダイナミックレンジ機能付きの防犯カメラを選びましょう。

夜間撮影機能

また、夜間用に暗いところではどの程度の明るさで撮影できるかも確認しましょう。赤外線照射機能が備わっていると、ほぼ真っ暗の状態でも撮影が可能です。夜間撮影機能付きの防犯カメラなら、夜間のオフィスなどのセキュリティ対策に活用できます。

配線方法

他にはケーブルをどのように処理するかも問題です。見えるところにケーブルがあると切断されてしまう可能性があります。隠すかPF管と呼ばれる電線管に入れるなどの工夫を施して室内に引き込む方法を考えましょう。

ちなみに、ネットワークカメラの中にはバッテリー駆動可能かつワイヤレスで映像を送信できるケーブルレスのものもあります。

これらのほか、形状や撮影できる画角なども、製品によって異なるポイントです。また、カメラに映った対象を自動検知する機能が備わっているものもあります。ネットワークカメラの種類や特徴の違いについては下記のページを参考にしてください。

ネットワークカメラの種類とそれぞれの特徴や形状を解説

防犯カメラの設置場所

防犯カメラは、どこに取り付けるかによって撮影できる範囲が変わります。以下では、目的に応じた防犯カメラの設置場所について解説します。

屋外の防犯カメラ設置場所

防犯カメラで人の出入りを確認したいのなら、不審者や空き巣の動きを見張れる建物のエントランスが一般的な設置場所です。窓やベランダからの侵入に備えて、それらの場所に設置するケースもよく見られます。他には駐車場・駐輪場、建物の外周なども候補に挙げられます。

また、屋外の防犯カメラは基本的に高いところに設置するのがセオリーです。簡単に手の届かない高さならカメラに何かをかぶせて映らなくしたり、向きを変えたり、配線を切断したりするのが難しくなります。また、下向きレンズを向けると逆光になりづらく、全体像が映しやすいというメリットもあります。ただし、顔を撮影したいときはあまり高所ではなく、しっかりと顔面を捉えられる位置に設置するよう注意しましょう。

屋内の防犯カメラ設置場所

飲食店やコンビニなどの店舗内に防犯カメラを設置する場合、レジの周辺や出入り口付近が主な設置場所です。防犯性を高め、万が一店内でトラブルが起きた時も記録を残すことができます。

オフィス内や倉庫内も防犯カメラを設置するべき場所です。高額な機材や重要な資料などが保管されている場所に防犯カメラを設置することで、セキュリティ性を高められます。工場内で現場の様子をモニタリングし、安全を確保するためにも防犯カメラが有効です。

防犯カメラの設置方法

ここでは屋内外で防犯カメラを設置する方法を説明します。ポイントは次の2点です。

防犯カメラ(ネットワークカメラ)の配線方法

ネットワークカメラの場合、PoEスイッチと呼ばれる機器を使ってLANケーブルのみで電力供給と映像・音声送信、PTZ(パン・チルト・ズーム)制御のすべてを行うことが可能です(PoE対応のカメラを使用する必要があります)。給電はPoE機器をコンセントとつなげればOKです。

そのためアナログカメラと比べて配線が簡単で、屋外に設置する場合は1本のケーブルを室内に引き込めばよいということになります。引き込んだLANケーブルを「PoE給電対応HUB」に接続すれば複数台のカメラとの接続も可能です。あとはPoE給電対応HUBと「HDD(ハードディスクドライブ)内臓レコーダー」を接続し、レコーダーとモニターを接続するというのが一般的な配線方法になります。

PoE対応カメラを使わない場合は、LANケーブルと電源ケーブルが必要になります。また録画方法にはHDD内蔵レコーダーを使う他に、サーバー録画、NAS録画、クラウド録画などがあります。

配線を屋外から室内に引き込む方法

ケーブルを屋外から室内に引き込む代表的な方法としては、壁に穴をあける方法と、エアコンダクターや窓またはドアの隙間からケーブルを通す方法の2つがあります。

ケーブルをなるべく隠してしっかりとカメラと接続するには、穴をあける方法のほうが適しています。穴あけ工事はプロに相談することになりますが、そもそも防犯カメラの設置は場所・位置選びや配線なども含めてプロに依頼するのが本来のやり方です。とくに1台だけではなく、複数台の防犯カメラを取り付けたいなどの要望がある場合は、数社に現地調査を依頼して見積もりをとり、対応がしっかりしている業者を選ぶことをおすすめします。

防犯カメラを設置する際の注意点

防犯カメラを活用する際は、運用を開始する前に準備を整える必要があります。会社で防犯カメラを設置する場合、記録されたデータを管理する責任者や権限を決めなければなりません。また、防犯カメラの利用目的などが記載された社内規定を作ることも定められています。

プライバシーの問題も注意すべきポイントです。顔など個人が特定できる映像が記録されているデータは、個人情報保護の観点から慎重に扱う必要があります。防犯カメラを社内に設置する際の注意点については、下記の記事を参考にしてください。

防犯カメラ(監視カメラ)の社内設置はプライバシーの問題になる?

防犯カメラ用のネットワークカメラはさまざまなデザインや機能を持つ製品が登場しています。防犯カメラを使用するときは、本記事を参考に、適した場所に、適した方法で、適した機能を持つネットワークカメラを設置しましょう。