ネットワークカメラの映像の送信に求められる回線速度とは

オフィスや店舗、工場から一般家庭までさまざまな場所で導入が進むネットワークカメラですが、映像が鮮明でなかったり遅延が生じてしまったりという問題が発生する場合があります。その原因のひとつとして大きく影響しているのが、「回線速度」です。ネットワークカメラのスペックに対して回線速度が十分ではない場合、せっかく設置をしてもその機能を十分に発揮することができません。
そこで今回は、ネットワークカメラを利用する際に理解しておくべき、回線速度について詳しく解説していきます。

ネットワークカメラの回線速度に関する知っておきたい用語

ネットワークカメラの映像を送信する際に必要な回線速度について説明する前に、まずはネットワークカメラの回線速度に関わる以下の用語について詳しく解説していきます。

画素数

ネットワークカメラやデジタルカメラの映像や写真の美しさに大きく関わる「画素数」。デジタルの映像や写真(画像)というのは、ピクセルと呼ばれる点が集まることによって作られています。「画素数」というのは、この点の縦の数と横の数をかけた合計のことです。例えば、2400万画素は6000×4000ピクセルという意味になります。また、このピクセルが一定の面積のなかにどのくらいの数あるのかという「密度」を表したのが「解像度」です。

ビットレート

「ビットレート」というのは、1秒間にどのくらいのデータ量が送受信できるのかを表した値のことを指します。単位はbpsで、「bits per second」の略です。ネットワークカメラにおけるビットレートは、1秒間にどれだけの情報を詰め込んでいるのかを意味していて、原則としてこの数値が高いほど映像はきれいという意味です。

フレームレート

ネットワークカメラで撮影された映像に限らず、私たちが普段目にしている映像(動画)は、静止画が連続で表示されているようなものです。1枚1枚の静止画は「フレーム」と呼ばれていて、このフレームが「1秒間あたり何枚含まれているのか」を表した値が「フレームレート」となります。フレームレートの単位は「fps(frames per second)」で、例えば24fpsというのは「1秒間あたり24枚の画像で動画が構成されている」という意味です。ちなみに、私たちが見て自然と感じるフレームレートは24fps〜30fpsとされています。

コーデック

コーデックというのは動画を圧縮するときのアルゴリズムを意味します。フレームレートの解説でも述べたとおり、動画というのは静止画の集まりです。例えば30秒の動画を撮影した場合、莫大な枚数の静止画をつなぎ合わせることになるため、容量がかなり大きくなってしまいます。そこで、これらの静止画を圧縮してつなげていくことで、動画の容量を抑えるというわけです。なお、コーデックにはさまざまな種類があり、最新の超高圧縮のコーデックはH.265となっています。

上り回線

インターネットの回線速度には上りと下りがあります。下りというのはインターネットからパソコンやタブレットなどの端末にデータを受信する際の回線ことで、簡単にいうとデータをダウンロードする際の回線ことです。一方、上りというのは端末からインターネットにデータを送信する際、アップロード時に使用する回線を指します。

ルーター

「ルーター」というのは、パソコンやテレビ、ネットワークカメラなどの複数のデジタル端末をインターネットにつなげるための機器です。

ネットワークカメラの映像の送信に求められる回線速度の目安

ネットワークカメラも4K時代に突入し、フルHDの映像よりも高精細化・高解像度化が進んでいます。撮影した映像を部分的に拡大してもぼやけることなく細かい部分まで鮮明に写し出すこともでき、今後もネットワークカメラは幅広い用途で活用されていくはずです。

ただし、映像の高精細化・高解像度化が進むということは、その分だけ送受信するデータ量は莫大になるということを忘れてはいけません。例えば、一般的なフルHDがおよそ200万画素なのに対し、4Kは約800万画素となっていて実に4倍の画素数となります。防犯用にネットワークカメラを導入した場合は基本的に24時間ずっと稼働し続けることになるため、莫大なデータが蓄積されてネットワークに大変な負荷がかかってしまいます。通信速度が十分に確保されていなかった場合には、映像の送信に影響を及ぼすことになるため注意が必要です。

このようなトラブルを回避するためにも、ネットワーク回線については光回線を利用することをおすすめします。また、映像の送信には上り回線を使用しますので、上り10Mbps以上の回線速度を確保しておきましょう。上り回線使用時のそのほかのトラブルについては「上り回線が遅い! 原因や早くするための対策を紹介」も併せて確認してみてください。

ネットワークカメラのスペックを最大限に活かすためにも、導入の際には上記を参考にして、回線の種類や速度についてもしっかりと検討しましょう。