ネットワークカメラの映像でコマ落ちが発生する原因と対策

ネットワークカメラで撮影した映像を確認しようと思ったら、瞬間的に動きが止まったように見えたり、映像がガクガクして不自然だったりした経験はありませんか? これは「コマ落ち(フレーム落ち)」と呼ばれる現象で、頻繁に起こるとストレスを感じるだけでなく、ネットワークカメラを設置した本来の目的を果たせないということになってしまうことも。
そこで今回は、ネットワークカメラのコマ落ちについて、原因と対策を一緒に勉強していきましょう。

コマ落ち(フレーム落ち)とは

デジタル映像かアナログ映像かに関わらず、私たちが普段目にしている「映像(動画)」というのは、「静止画を連続表示したようなもの」だということをご存知でしょうか。子どもの頃に分厚い教科書の端に1ページずつ絵を書いて「パラパラ漫画」を作ったことがある方も多いと思います。パラパラ漫画では、1枚1枚の絵を高速で送っていくことで、まるで絵が動いているように見えますが、ネットワークカメラの映像も基本的な考え方としてはパラパラ漫画と同じです。

映像では静止画1枚のことを「フレーム」と呼び、その静止画が1秒間あたりに何フレーム含まれているのかを表したのが「フレームレート(fps)」になります。例えば、30fpsというのは、1秒間に30枚の静止画(フレーム)を表示しているという意味になるわけです。

そして、映像を再生した時に何らかの原因で表示されないフレームが生じることを「コマ落ち(フレーム落ち)」と呼びます。例えば、撮影した映像が本来30fpsで再生されるはずが、何らかの原因で20fpsしか再生されなかったとした場合、10fps分がコマ落ちしたということになるのです。表示されるべきフレームが少なくなってしまうことで、映像が不自然にガクガクして見えたり、突然再生箇所が先に飛んでしまったりという現象が現れます。

ネットワークカメラがコマ落ちする原因

では、なぜコマ落ちが発生するのでしょうか? ネットワークカメラがコマ落ちする主な原因は以下の通りです。

ビットレートが高い

「ビットレート」というのは、1秒間に送受信できるデータ量のことです。ネットワークカメラでは、1秒間にどれだけの情報を詰め込んでいるのかを意味していますが、例えば4Kなどのように超高画質の映像は、高精細かつ高画質な一方でデータ量がとても大きくなってしまいます。そのため、ビットレートが高すぎるとスムーズにデータを送受信することができず、コマ落ちが発生してしまうのです。

転送速度が遅い

使用しているインターネット回線の最大通信速度が遅い場合、ビットレートの高い高精細かつ高画質な映像を送信する際に、通信量が大きくなりすぎてしまって転送が追いつかずコマ落ちが発生するケースも珍しくありません。

通信環境が悪い

ネットワークカメラを無線(ワイヤレス)でインターネットに接続している場合、ルーターとネットワークカメラの間に壁や障害物があることで、接続が途切れてしまったり遅くなってしまったりすることがあります。その結果、転送速度が低下してしいまい、コマ落ちが発生するのです。

ネットワークカメラのコマ落ち対策

近年ではネットワークカメラも4Kが主流となり、これまで以上に大容量のデータを転送するようになってきました。そもそもネットワークカメラというのは何らかの目的があって設置しているわけですから、コマ落ちによって映像が飛んでしまったり不自然にガクガクしたりでは意味がありません。上で挙げた原因を正しく理解したうえで、以下の通りに対策をしていきましょう。

ビットレートを下げる

現在のインターネット回線のままコマ落ちを改善するには、ビットレートを下げるという方法も選択肢のひとつです。解像度やフレームレートが高いとビットレートも高くなるので、どちらか一方のボリュームを絞って設定を見直してみましょう。

通信機器のスペックを見直す

コマ落ちの発生を防ぐためには、通信機器のスペックを見直すことも大切なポイントです。たとえば、通信速度が不足している場合には、より早い速度のものに買い換えましょう。また、中継機を介してネットワークカメラを使用している場合にはトラフィックが生じてコマ落ちが起こりやすくなります。子機をルーターの近くに置くなどして、中継機を使用せずに映像の確認ができるのが理想的です。

通信環境を整える

通信環境を改善できるのであれば、お使いのネットワークカメラのビットレートの高さに対して最適な転送速度のWi-Fiを設置するのがおすすめです。また電波干渉の影響を受けにくい5GHz帯のWi-Fiルーターを使用するのも良いでしょう。

防犯対策や子どもの見守り、製造現場のモニタリングなどさまざまな用途で設置されているネットワークカメラ。近年では高精細で高解像度のネットワークカメラも増えているため、スペックに合わせた回線速度を確保することも大切なポイントです。コマ落ち(フレーム落ち)が発生すると、ネットワークカメラ本来のスペックを発揮できなくなってしまうため、気になる時には上記でご紹介した内容を参考にして対策をしていきましょう。